地球の未来と生物多様性 ウィーク
保護のカギとしての知識 ~Part I~
イタリア共和国
日本とイタリアの研究者が、生物多様性、海洋、極域、気候変動、自然災害の5つの主要な環境テーマについて、研究経験を双方向に共有します。主催は、イタリア国立研究評議会(CNR)の地球システム科学技術部門。「記憶としての知識」をキーワードに、環境変化への理解と、地球規模の課題に対するレジリエンスの向上に向けた科学的対話を展開します。
映像記録有り
対話プログラム
- 気候変動
- 生物多様性
| 同時通訳 | 未定 |
|---|---|
| 発信言語 | 未定 |
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トラックプログラム
- 開催日時
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2025年09月19日(金)
10:00 ~ 13:30
(開場 09:30)
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- 開催場所
- 各パビリオン
- イタリアパビリオン
プログラム内容
*字幕:YouTube動画の右下「歯車」マークの「字幕」よりお選び下さい。
(複数言語、音声が重なる際等、字幕が掲出されない場合があります)
本プログラムでは、日本とイタリアの科学者が、生物多様性、海、極域、気候変動、自然災害という5つの環境テーマに関して、それぞれの研究成果と経験を共有します。これらは、イタリア国立研究評議会(CNR) 地球システム科学技術部門の重点研究分野でもあります。
各セッションでは、科学的観測と文化的記憶に基づく知識が、地球規模の環境課題を理解し対応するための有効な手段であることが示されます。プログラムは、冒頭の関係者による挨拶と日伊間の協力覚書の署名から始まり、両国の強みと研究協力を生かしたテーマ別パネルディスカッションへと続きます。
・生物多様性:ヨーロッパと日本の文化的視点からその価値を再考し、バイオシンセシスや創薬を視野に入れたバイオプロスペクティングの最新研究も紹介します。
・海と海洋:漁師の記憶など、地域に根ざした生態知を通じて、持続可能な海洋管理の可能性を探ります。
・極域:氷床コアや遠隔観測データが過去の気候の記憶を示し、急速に温暖化が進む北極における国際協力の重要性が強調されます。
・気候変動:SKYNETやGRUANなどの長期観測ネットワークを通じて、太陽放射や大気組成の国際的なモニタリング体制を紹介します。
・自然災害と深部探査:災害の記憶や地球深部の動態に関する観測を通じて、地震・火山・津波など地球物理リスクへの理解とその軽減に向けた取り組みを共有します。
プログラムの締めくくりとして、午前の科学的テーマに関連したアート映像作品が上映されます(一般来場者も観覧可能)。これは、科学と社会との架け橋を築き、知識による環境保護への理解と関心を広く喚起することを目的としています。
実施レポート
【振り返り】
本イベントは、イタリア国立研究評議会(CNR)地球システム科学・環境技術部門の主要研究活動を反映した5つの環境テーマを中心に構成されました。
当日は、CNRとJAMSTEC、さらにCNRと筑波大学との間で2件の重要な協力覚書が署名され、イタリアと日本の科学的連携が強化されました。
科学的知識は、記録やデータに基づく「記憶」として、環境変動の理解や地球規模の課題へのレジリエンス強化に不可欠であることが示されました。既に共同研究に携わっている日本の研究者も招かれ、テーマ別パネルを通じて、研究と生命保護の接点に関する二国間の対話が促進されました。
オープニングパネル:海洋インフラと国際協力
オープニングパネルでは、新たに署名されたCNR–JAMSTEC協定を踏まえ、戦略的な海洋インフラと国際協力に焦点が当てられました。海洋観測や深海探査における先進技術の共同利用が紹介され、国際深海掘削計画(IODP)およびその発展形であるIODP3での遠征事例が示されました。また、日本の新たな北極研究船「Mirai II」が国際的な科学ミッション向けに計画されていることも紹介されました。CNRの地中海拠点インフラは、海洋科学の進展や政策形成、国連「海洋科学の10年」などの国際的イニシアティブへの貢献のモデルとして提示されました。
パネル1:生物多様性
科学的・文化的両面から生物多様性を考察。ディエゴ・フォンタネート(CNR 水研究所(IRSA))と占部 城太郎(東北大学)は、先史時代の洞窟壁画から現代の漫画やマスコットまで、生物多様性の文化的記憶を紹介しました。アンジェロ・フォンターナ(CNR 生体分子化学研究所(ICB) 所長)と脇本 俊幸(北海道大学)は、生物多様性と化学多様性の関係について議論し、天然化合物が創薬に果たす役割や、生物多様性の喪失が生態系や人間の健康に及ぼすリスクを強調しました。
パネル2:海と海洋
漁業者の経験を生態学的知識として活用する意義が議論されました。エルネスト・アズーロ(CNR 海洋生物資源・バイオテクノロジー研究所(IRBIM))、吉田 丈人、福永 真弓(東京大学大学院)は、伝統的知識を科学的理解に変換する方法を紹介。漁業者の観察は海洋変化の広い視点を提供し、持続可能な海洋ガバナンスを支えます。
【会期後の取り組み】
本プログラムでの議論は、万博終了後も日伊両国の研究機関間で具体的な協力を促進しています。両国の科学者は、生物多様性、海洋環境、極域、気候変動、自然災害という5つの主要テーマに関する長期的な観測データや研究成果の共有を進めています。
特に、CNRがJAMSTECおよび筑波大学と締結した2件の協定は、日伊間の長期的な科学協力を推進する戦略的な節目と考えられます。
JAMSTECとの協力覚書(MoC)は、海洋科学・バイオテクノロジー、極域科学、科学基盤の分野での共同研究の基盤を築くものです。これらの分野では、海洋生態系、気候に関連する汚染物質の循環、微生物の多様性、極域氷床の動態に関する高度なシミュレーション手法など、学際的な研究が進められる予定です。
また、IODP3の枠組みに含まれる研究船などの研究プラットフォームの共同利用や、研究者の交流も促進されます。今後数年間で、これらの協力は共同研究プロジェクトや共著論文、合同フィールド調査へと発展し、海洋・極域科学の国際的取り組みに貢献すると期待されています。
筑波大学との了解覚書(MoU)は、強固な学術・研究パートナーシップの構築を目的としています。共同研究プログラムの開発や研究者・職員の交流、戦略的対話のための恒久的なプラットフォームの整備が進められ、両機関間だけでなく、イタリア、欧州、日本をつなぐ新たな取り組みの創出にもつながります。
また、学生や研究者の交流を支援し、研修やワークショップ、協働学習の機会も促進されます。今後は、共同プロジェクトや資金申請、教育プログラムの共有などにつながり、国境を越えたイノベーションと能力開発の推進に寄与すると考えられます。
これらの協定は、国際協力を通じて科学を前進させるという両国の共通の意志を示すものであり、今後も多様な共同活動が展開し、成長・発展していく基盤を築くものと考えられます。
出演者情報
登壇者
フランチェスコ・ペトラッキーニ
CNR 地球環境科学技術部門 部門長
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マリオ・ヴァッターニ
外務国際協力省、2025年大阪万博イタリア政府代表、大使
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エレナ・スガルビ
イタリア大阪総領事館
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マリア・エレナ・マルティノッティ
CNR 地球環境科学技術部門 広報担当
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ジャンルイジ・セリアンニ
在日イタリア大使館 科学担当官
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小平 秀一
海洋研究開発機構(JAMSTEC)理事
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ジュゼッペ・マニーフィコ
CNR 研究インフラ部門長
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ディエゴ・フォンタネート
CNR 水研究所(IRSA)
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占部 城太郎
東北大学 大学院生命科学研究科 生態発生適応科学 マクロ生態分野 名誉教授
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アンジェロ・フォンターナ
CNR 生体分子化学研究所(ICB) 所長
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脇本 俊幸
北海道大学 大学院薬学研究院 教授
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エルネスト・アズーロ
CNR 海洋生物資源・バイオテクノロジー研究所(IRBIM)
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吉田 丈人
東京大学大学院農学生命科学研究科 保全生態学研究室
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福永 真弓
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 准教授
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共催者名
イタリア国立研究評議会
地球の未来と生物多様性 ウィーク
保護のカギとしての知識 ~Part I~
日本とイタリアの研究者が、生物多様性、海洋、極域、気候変動、自然災害の5つの主要な環境テーマについて、研究経験を双方向に共有します。主催は、イタリア国立研究評議会(CNR)の地球システム科学技術部門。「記憶としての知識」をキーワードに、環境変化への理解と、地球規模の課題に対するレジリエンスの向上に向けた科学的対話を展開します。
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2025年09月19日(金)
10:00~13:30
(開場 09:30)
- 各パビリオン
- ※プログラム開催時間・内容は掲載時点の予定となります。変更については、当WEBサイトや入場券予約システム等で随時お知らせしてまいります。
- ※プログラムの性質上、実施主催者の都合等に因り、ご案内時刻等が変動する可能性があります。

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