地球の未来と生物多様性 ウィーク
AIと協力した、自然と人間が共に成長する未来とは?
アジェンダ2025共創プログラム
シェイプ・ニューワールド・イニシアティブ
【2050年の未来像の仮説】
AIに協力してもらうことで、自然と人間が共に成長していく未来。
生物多様性の減少をなくし、さらに豊かにする「ネイチャーポジティブ」。実は、自然を豊かにすることは、わたしたち人間を豊かにすることでもあるのではないでしょうか。AIテクノロジーによって、ネイチャーポジティブとヒューマンポジティブが出会った未来を、ビジネス、自然環境、文化創造など多様な視点から構想。そんな未来を一緒に実現していくためのアクションを提案します。
映像記録有り
対話プログラム
- ネイチャーポジティブ
- ソーシャルデザイン #ウェルビーイング #イノベーション #AI
| 同時通訳 | 提供する |
|---|---|
| 発信言語 | 日本語及び英語 |
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アジェンダ2025
共創プログラム
- 開催日時
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2025年09月27日(土)
14:00 ~ 16:00
(開場 13:30)
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- 開催場所
- テーマウィークスタジオ
プログラム内容
*字幕:YouTube動画の右下「歯車」マークの「字幕」よりお選び下さい。
(複数言語、音声が重なる際等、字幕が掲出されない場合があります)
「生物多様性」は世の中で幅広く広がりつつある言葉であるにも関わらず、具体的に何を指し示すか実感できていない人が多いのが現状。しかし、自然を豊かにさせていく「ネイチャーポジティブ」な活動は、人にとっての豊かさ「ヒューマンポジティブ」とも深く関わっています。例えば、自然を育む活動が人のイノベーティブな発想にもつながったり、自然環境が人体の健康と密接につながっていたり。文化的にも、日本には自然と人が共生していく精神性が根付いています。本セッションでは、地球環境が後戻りできない臨界点を迎えている中で、AIやテクノロジーの協力を仰ぐことで、自然を豊かにし、人間を豊かにできないか?と発想を転換。社会課題の解決と未来価値の創造を目指すプランナーが中心となり、独自のメソッドとクリエイティビティを生かしてネイチャーポジティブとヒューマンポジティブが実現する未来のビジョンをご提案します。
実施レポート
【振り返り】
本セッションでは、Nature Positive と Human Positive を両立させる視点から、AI・アート・都市開発・学術の横断で「自然と人が共に成長する」道筋を検討しました。
藤木さんは、生物多様性は二酸化炭素のような明確な単位や共通指標がなく、定量化が難しいという根本課題を指摘しました。そのうえで、AI画像認識で写真から種を同定し、市民参加型アプリのゲーミフィケーションで観察データを集める取り組みを紹介しました。これによりモニタリングと計画立案の質を高め、80以上の自治体・700社と連携して保全プロジェクトを進めていると述べました。
鎌田さんは、微生物分解や地球史におけるシアノバクテリアなど、見えにくい自然現象を扱う作品を通じて、鑑賞者が自然への驚異(ワンダー)と接続できる場をつくると説明しました。テクノロジーやAIは自然環境の再現・可視化を助け、価値の共有と保全の動機を生む強力な媒介になりうると指摘しました。
中さんは、麻布台ヒルズのように従来より大きく緑量を増やす都市再開発の事例を紹介し、単なる景観ではなく、生物多様性価値を評価・向上させる設計・運用が重要だと述べました。AIとデータは、植栽選定や管理の最適化、都市生態系サービスの把握に資するとの見解が示されました。
深野さんは、自然環境の復元・再生を考える際に、どの状態を基準(ベースライン)とすべきかが十分に記録されていない難しさを強調しました。政策や投資判断のために、生態系サービスの定量化を進める必要性を提起し、テクノロジーとアートは望ましい自然の未来像を可視化・共有する有効なツールになると述べました。
総じて、議論は量的(メトリクス)と質的(驚異・関係性)の両アプローチを統合し、市民・企業・行政・研究・アートの協働で自然価値を社会実装する方向へ収斂しました。Q&A では、データの標準化やプライバシー、都市緑地での管理負荷と生物多様性効果のトレードオフ、教育を通じた若年層の巻き込みなどが交わされ、「AIは自然を管理する主体ではなく、自然と人の共育を支える道具として設計すべきだ」という理解が共有されました。
【会期後の取り組み】
登壇者は、会期後のそれぞれの研究、事業展開等における重要な視点として以下を挙げました。
(1)会期後は、議論を一過性で終わらせず、実装の解像度を高める取り組みを進めていくこと。まず、生物多様性データのデジタル化・可視化・分析を一層推進し、AI画像認識×市民科学で観察データを継続的に蓄積していき、自治体・企業との協働を広げ、指標整備とダッシュボード化を通じて、保全や復元の意思決定を支える基盤を整備すること。
(2)都市分野では、麻布台ヒルズ等の事例で得た知見を一般化し、植栽選定・管理最適化アルゴリズムや生物多様性価値評価を設計段階から組み込むモデルを検証。あわせて、生態系サービス(洪水緩和、ヒートアイランド緩和、精神的健康など)の定量化を発注要件や運用KPIに反映し、審美性だけに依らない都市緑地の評価を普及させていくこと。
(3)社会実装の加速にについては、自然への情動的な接続が不可欠で、学校・美術館・地域拠点で、アートとデータを横断した展示やワークショップを展開し、若年層の参加を広げていくこと。また、消費者・有権者行動の転換を促すため、生物多様性に配慮した製品・サービスの選択や、関連政策への賛同を後押しする分かりやすい情報提供にも取り組むこと。
最後に、登壇者からは、研究者・アーティスト・企業・政策担当者が同じ目標関数で動けるよう、経済インセンティブと生物多様性目標の整合を図る協働体制を設け、データのオープン性・相互運用性、プライバシー配慮、説明責任を運用ルールに組み込みながら、新しい指標と物語で「Nature & Human Positive」な未来の実装を進めていくこと。継続して取り組みを進め、Agenda 2025の理念を次世代につなげていくことが提示されました。
出演者情報
モデレータ
牧之段 直也
株式会社SIGNING
1997年生まれ。2020年に博報堂入社。商品開発から未来洞察まで経験し、2023年よりSocial Business Studio「SIGNING」に参画。未来世代に向けたグローバルアジェンダの普及に取り組み、バーチャルとリアルが溶けた未来や、ネイチャーポジティブとヒューマンポジティブが実現した未来社会を研究開発。
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登壇者
藤木 庄五郎
株式会社バイオーム
京都大学大学院博士号取得後、株式会社バイオームを設立、代表取締役に就任。生物多様性保全と経済合理性が両立する社会を目指し、生物多様性をビッグデータ化する事業に取り組む。環境省「2030生物多様性枠組実現日本会議行動変容WG」専門委員。日本自然保護協会評議員。ISO/TC331(生物多様性)国内審議委員。
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Mikiko Kamada
Rokkakukei LLC
千葉大学大学院園芸学研究科博士課程修了。生命科学系のバックグラウンドからメーカー開発職を経て、プランツディレクター、アーティストとして活動を開始。現在「植物とヒトの関係性」の再構築、都市における土と植物の重要性を研究しながら、ネイチャーポジティブな都市環境の構築を目指し活動中。
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中 裕樹
森ビル株式会社 麻布台ヒルズ運営推進室運営部 タウンマネジメントグループ 課長
オフィス事業部、都市開発本部を経て、2014年からタウンマネジメント事業部所属。
虎ノ門ヒルズエリアの運営を担当した後、麻布台ヒルズのパブリックスペースやグリーンの企画立案に携わる。
現在は麻布台ヒルズ企画戦略室にて、グリーン&ウェルネスを軸とした街全体の企画戦略立案・運営を担当。
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深野 祐也
千葉大学
千葉大学園芸学研究院准教授。専門は生態学。人間活動と生物進化や生物多様性の関係を広範に研究している。日本生態学会宮地賞(2022年)、科学技術への顕著な貢献(2023年)、日本農学進歩賞(2024年)、文部科学大臣表彰若手科学者賞(2025年)など受賞多数。SFが好きです。
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地球の未来と生物多様性 ウィーク
AIと協力した、自然と人間が共に成長する未来とは?
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【2050年の未来像の仮説】
AIに協力してもらうことで、自然と人間が共に成長していく未来。
生物多様性の減少をなくし、さらに豊かにする「ネイチャーポジティブ」。実は、自然を豊かにすることは、わたしたち人間を豊かにすることでもあるのではないでしょうか。AIテクノロジーによって、ネイチャーポジティブとヒューマンポジティブが出会った未来を、ビジネス、自然環境、文化創造など多様な視点から構想。そんな未来を一緒に実現していくためのアクションを提案します。
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2025年09月27日(土)
14:00~16:00
(開場 13:30)
- テーマウィークスタジオ
- ※プログラム開催時間・内容は掲載時点の予定となります。変更については、当WEBサイトや入場券予約システム等で随時お知らせしてまいります。
- ※プログラムの性質上、実施主催者の都合等に因り、ご案内時刻等が変動する可能性があります。

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