EXPO2025 Theme Weeks

ハイライト

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プログラム内容

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2050年までに達成したい人間と自然が共存できる社会のあり方は何か。政府、国際機関、NGO、研究機関、民間の幅広いバックグランドを持つ登壇者たちが、彼ら独自の視点から議論します。これまで後回しにされてきた自然環境への影響が日々の生活や社会に取り入れられるには、企業のあり方、私たちの消費の仕方がどう変わるべきなのでしょうか。政策決定は誰の声を聞き、どんなプロセスで行われるべきなのでしょうか。都市化が進む世界で、都市部と地方社会がそれぞれどのような役割を担い、お互いを補い合っていくべきなのでしょうか。未来のリーダー育成にはどのような教育やコミュニティが必要なのか。最前線に立つ若者の視点から議論します。

実施レポート

【振り返り】
本セッションは、「人間と自然の共生」を2050年までに実装するためのシステムチェンジを、政治・食・エネルギー・地域産業・先住民コミュニティの視点から多面的に検討しました。

モデレーターの杉浦由佳さんは、参加者に2050年の社会像を具体的に思い描くことを促し、民主主義の質、地域の声、経済のあり方を横断して議論する枠組みを提示しました。

スイスのロウラ・キュローさんは、自国の直接民主制の強みを紹介したうえで、スイス企業が海外で及ぼす環境・人権影響を例示し、国境を越える企業責任を法制度で担保する必要性を訴えました。2050年には、企業がサプライチェーン全体で人権と環境を尊重し、市民が情報に基づき意思決定できる社会を構想しました。

ジッサイ・サンタプトラさんは、「公正なエネルギー移行」の核心は誰に対する公正かという問いだと指摘しました。メコン河の水力発電に伴う住民移転や文化財の喪失リスクを例に、「クリーン電力の拡大」と「生物多様性・文化の保全」のトレードオフを可視化し、欧州とアフリカ・アジアで正義の論点が異なることを整理しました。さらに、分散化・蓄電・デマンドレスポンスなど新旧技術をつなぐ世代間対話の重要性を強調しました。

ジョコ・トリ・ルビヤントさんは、インドネシアでの農産物規格外品の大量廃棄や、パーム油に依存する地域の現実を踏まえ、抽出的(搾取的)関係からパートナー関係への転換を提案しました。女性グループや農家と共創し、規格外作物の高付加価値化、間作(例:パーム+コーヒー)や幹材の糖化利用などで所得を改善する実践を紹介し、消費者の選択(認証製品の購入)が市場転換を後押しすると述べました。

丸岡毅さんは、「虫秘茶」の事例を通じて、見過ごされた自然資源の価値を科学×文化で再発見し、放棄農地の活用や雇用創出につなぐ循環モデルを提示しました。同時に、「虫が嫌い」という先入観を実体験で乗り越え、自然を自分事として感じる教育の必要性を語りました。

Q&Aでは、①少数者の声をどう制度に反映するか(独立メディアと討議空間の役割)、②大企業と地域が対等なパートナーになるための価格決定や利益配分、③エネルギー安全保障と再エネの変動性リスクの橋渡し、④市民が自然と接触する機会を増やす教育・場づくり、が論点になりました。登壇者は、性急な変革は置き去りを生むとしつつ、「段階的で包摂的」に進めることで反発を抑え、行動変容を伴う移行を実現すべきだと一致しました。

総じて、2050年像は、企業責任の国際化、公正なエネルギー移行、地域主導の食と資源循環、先住民の知の中核化、体験にもとづく学びを統合するビジョンとして描かれました。

【会期後の取り組み】
登壇者は、会期後のそれぞれの研究、事業展開等における重要な視点として以下を挙げました。

(1)議論を実装へ結び付けるため、以下を段階的かつ包摂的に進めていく必要があるとし、まず、企業責任の国際基準(人権・環境デューディリジェンス等)を踏まえ、サプライチェーン全体の実効性ある運用と第三者検証を強化していくこと。エネルギー分野では、分散型電源・蓄電・柔軟な需要側管理の社会実装を拡大し、地域や世代間の対話を設計に組み込むことで、公正な移行(Just Transition)を制度化していくこと

(2)食と地域経済の側面では、規格外・未利用資源の高付加価値化、間作・循環利用の知見を他地域に展開し、女性や若者の参画を前提に公平な価格決定と利益配分の仕組みを整える必要があること。
先住民コミュニティについては、データ主権と意思決定権を尊重し、保全・適応策の設計に中核として関与してもらう枠組みを拡充していくこと。

(3)教育・普及という観点においは、屋外体験や博物館・学校・地域拠点でのプログラムを通じて、自然と直接に出会う機会と「驚き」を増やし、消費者・有権者としての行動変容を促す情報提供を強化していくこと。

以上、これらを横串に、法・市場・コミュニティを結ぶ協働プラットフォームを構築し、反発を最小化する移行設計(段階的・補償・リスキリング等)を標準化することで、2050年に向けた人間と自然の真の共生を社会に定着させていくことができるのではと提言しました。

出演者情報

モデレータ

杉浦 由佳

グローバルシェーパーズコミュニティ 横浜ハブ

グローバルシェーパーズコミュニティ横浜ハブ・生物多様性コミュニケーター。日本・インド・オランダ等幅広い地域で自然保護に関する活動を行い、ビジネス・NGO・アカデミアセクターでの経験に基づく独自の視点を提供。サステナブルファッションムーブメントMend It Mine創設者。

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登壇者

丸岡 毅

京都大学大学院農学研究科(博士課程)、株式会社虫秘茶(代表取締役)

京都大学大学院農学研究科、博士課程在籍。専門は分析化学と生態学。研究の傍らで、特定の植物を食べた蛾の幼虫のフンが非常に美味しいお茶になることを発見し、「虫秘茶」と名付け事業化。この事業を通じて、生態系や自然資源の経済的価値の再発見と、地方の活性化への貢献を目指している。

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ジョコ・トリ・ルビヤント

ユースポリシー委員 - ワールド・フード・フォーラム、ライズ財団インドネシア

持続可能なフードシステムおよび食糧政策実現のためのユースの参画を提唱するアドボケイター。国際食品科学技術連合より食品持続可能性賞を受賞。世界食糧フォーラムのユースポリシー委員に選出され、アジア太平洋地域の農家のためのイノベーション・ブローカー・モジュール作成に尽力。

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ロウラ・キュロー

スイス・コアリション・フォア・コーポレート・ジャスティス、ベルン中央支部

スイス・コアリション・フォア・コーポレート・ジャスティスにおいて政策責任者を務める。スイスにおける企業の責任に関する法整備のロビー活動に従事。

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ジッサイ・サンタプトラ

ユース・フォア・エナジー・サウスイーストアジア

Youth for Energy Southeast Asia共同設立者。タイ国内Youth Climate Councilメンバー。女性や若者の意思決定への参画、アジア太平洋地域でのJust Energy Transition促進に尽力。COPにおけるタイのユース代表等を歴任。

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地球の未来と生物多様性 ウィーク

人間社会が地球上で持続的であるためのシステムチェンジ~人間と自然の共生に向け、2050年の社会はどのような姿であるべきか~ 
アジェンダ2025共創プログラム

2050年の未来像の論点:自然環境の保全に向け、政府・企業・個人の資金はどのように分配される社会であるべきでしょうか。数多ある政治課題の中で、自然との共存に関し、誰の声が組み入れられ、どう政策決定が行われていくべきでしょうか。開発と保全はどうバランスを保つべきでしょうか。子供・若者・大人に対し、自然との向き合い方に関するどのような教育が行われ、どのようなリーダーが生み出されるようになるべきでしょうか。

人間社会の地球上での持続可能性が問われ、様々な課題が顕著化している今、抜本的な社会変革が不可欠です。どういった社会であれば、私たちは地球上でこの先長く暮らしていけるのでしょうか。2050年までにあるべき、経済・政治・地域づくり・教育…。多様な視点から若者たちの考えを問います。

  • 20250927日(土)

    18:0019:30

    (開場 17:00)

  • テーマウィークスタジオ
  • ※プログラム開催時間・内容は掲載時点の予定となります。変更については、当WEBサイトや入場券予約システム等で随時お知らせしてまいります。
  • ※プログラムの性質上、実施主催者の都合等に因り、ご案内時刻等が変動する可能性があります。

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