EXPO2025 Theme Weeks

プログラム内容

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実施レポート

【振り返り】
本プログラムでは、サウジアラビア王立伝統芸術研究所(WRTH)が推進する伝統芸術の保存と再生の取り組み、とりわけ建築分野における革新的な実践が紹介されました。文化省の下に設立され、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下が議長を務めるWRTHは、「サウジ・ビジョン2030」に基づき、文化遺産を未来志向で活用するための多面的な活動を展開しています。その理念は、伝統と革新を結びつけ、古来の知を現代社会に生かす力強い意思を体現しています。

WRTHが掲げる五つの柱――教育、研究、職人育成、市民参加、国際交流――を通じ、文化の継承が創造性や雇用、国際的な対話の促進につながることが示されました。特に、文化を体現する職人を顕彰する「無形文化財保持者(Living National Treasures)」の取り組みは、技能と献身によって伝統を支える人々の価値を社会全体で再認識する契機となりました。

建築分野では、ナジド地方の土造建築をはじめとする地域固有の建築文化が、厳しい気候や社会的慣習と調和しながら発展してきた過程が紹介されました。屋内中庭を中心とした構造や通風・採光の工夫は、環境適応型建築として現代のサステナブルデザインにも通じる知恵として評価されています。こうした建築遺産は、単なる過去の遺構ではなく、文化と環境が共生してきた証として、未来の都市づくりに新たな視点をもたらします。

また、建築を「生きた文化」として捉えるWRTHの理念も印象的でした。形ある構造物としての建築は、職人の技術や地域社会の営みと結びつき、有形・無形の両面で文化的アイデンティティを形成しています。保存を「再生のプロセス」として捉え、伝統的な素材や技術を現代建築に応用する考え方は、文化遺産の新たな活用モデルを提示しています。

本プログラムを通じて、文化遺産の保全は単なる保存ではなく、創造的再生の営みであることが改めて示されました。WRTHの取り組みは、伝統建築を未来へ継承し、文化と技術の融合が持続可能な社会を支える重要な鍵となることを教えてくれました。


【会期後の取り組み】
サウジアラビア王立伝統芸術研究所(WRTH)は、伝統建築の保存と持続可能性への取り組みをさらに進めるため、アラブ世界初の体系化された徒弟制度型教育プログラム「伝統建築技法プログラム(Traditional Building Techniques Program)」を展開しています。本先駆的プログラムは、サウジアラビア最古かつ環境適応性に優れた土造建築を中心に据え、伝統と革新を橋渡しすることを目的としています。新たな世代の職人や建築家、保存専門家を育成し、伝統的建築技術を現代社会の都市開発や持続可能な建築に応用できる人材の輩出を目指しています。

プログラムは三段階に構成されます。初級(Level I)では、土造建築の基礎、素材特性、施工法や模型作りを学び、建築遺産の文化的・環境的意義を理解します。中級(Level II)では、遺産価値の評価や修復技術を実践的に学び、ディルイヤでのハッサン・ファシー作品再構築など、伝統技術と現代的修復手法を融合したプロジェクトに参加します。上級(Level III)では、プロジェクトマネジメントや安全管理、チームリーダーシップを習得し、アルウラ旧市街の修復など国家規模の現場で、実務経験と指導力を兼ね備えた専門家として成長します。

こうした体系的な教育と実践を通じて、プログラム参加者は、伝統建築を単なる歴史的遺産として保存するだけでなく、現代都市の持続可能な設計や地域文化の活性化に応用できる能力を身につけます。また、育成された職人や専門家は、地域雇用の創出や文化的産業の発展にも貢献し、サウジ・ビジョン2030が掲げる持続可能な都市開発と文化の両立に寄与します。

WRTHは伝統建築を「生きた文化体系」と捉え、ナジド建築に見られる気候適応型設計や社会的価値観を踏まえた知恵を次世代に継承することを目指しています。これにより、伝統工芸は静的な遺産ではなく、文化保存と経済的機会を両立する生きた職能として進化し、未来の都市景観や社会づくりに不可欠な資源となります。WRTHの取り組みは、伝統建築を現代的に活用しながら次世代へ発展させるモデルケースとして、今後の展開が大いに期待されます。

出演者情報

登壇者

アハメッド・アライダロウス博士

王立伝統芸術研究所(Wrth)文化遺産・博物館学部 学部長

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共催者名

サウジアラビア王立伝統芸術研究所(WRTH)

地球の未来と生物多様性 ウィーク

サウジ伝統の泥レンガ建築を通じた持続可能な実践の推進

講演の目的は、サウジアラビアの伝統的な泥建築技術が、いかに持続可能な実践と文化遺産を促進するかを探ることです。サウジアラビアの建築に不可欠な要素として、これらの技法は今日の状況にも通じる持続可能性の原則を体現しています。
この研究を通じて将来の世代を教育することで、私たちはこのかけがえのない伝統を確実に守ると同時に、持続可能な開発における現代的な関連性を強調することができます。

  • 20250927日(土)

    11:0013:00

    (開場 10:30)

  • 各パビリオン
  • ※プログラム開催時間・内容は掲載時点の予定となります。変更については、当WEBサイトや入場券予約システム等で随時お知らせしてまいります。
  • ※プログラムの性質上、実施主催者の都合等に因り、ご案内時刻等が変動する可能性があります。

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