未来のコミュニティとモビリティ ウィーク
希少疾患の「診断ラグ」解消に向けて
~テクノロジーと社会の力で実現するヘルスエクイティ~
大阪・関西万博テーマ事業 いのちを響き合わせる(宮田プロデューサー)
希少疾患の患者さんに公平な医療を届けるために、発症から診断までの時間がかかる「診断ラグ」をテーマに、医師、患者会、AI企業などの専門家とその現状や解決策について様々な視点から議論を進め、希少疾患・難病の患者さんの課題について理解を深めます。
映像記録有り
対話プログラム
- 健康 #希少疾患 #ヘルスエクイティ
同時通訳 | 提供する |
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発信言語 | 日本語及び英語 |
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シグネチャープログラム
- 開催日時
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2025年05月23日(金)
18:30 ~ 20:15
(開場 18:00)
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- 開催場所
- テーマウィークスタジオ
プログラム内容
希少疾患の患者さんには様々な課題がありますが、特にヘルスエクイティ(医療の公平性)を阻害する大きな課題の一つとして「診断ラグ」があります。本イベントでは、「診断ラグ」をテーマに、医師、患者会、AI 企業などの専門家が様々な視点から議論し、希少疾患・難病を抱える患者さんの課題解決への理解を深めていきます。
<プログラム>
オープニング
講演
・関係者とともに、希少疾患を考え、語る
・重症新生児に対する全ゲノム検査への期待
・医療のデジタルテクノロジー革新
・患者データがつくる希少難病克服への道
パネルディスカッション
「診断ラグの解決と未来に向けて」
クロージング
実施レポート
【振り返り】
本イベントでは、希少疾患の患者が直面する課題の中でも、発症から診断までに時間を要する「診断ラグ」に焦点を当て、患者会、医師、AI企業、中間機関などの専門家が多角的な視点から議論を深めました。
西村由希子氏は、希少疾患の「診断ラグ」を紹介し、確定診断までに平均3.4年を要し、5年以上かかった患者が約35%、約6割が誤診を経験している実態を報告しました1)。また、この課題解決のためには、多様な関係者が率直に意見交換し、協力して解決策を構築することが不可欠であると訴えました。
武内俊樹氏は、NICU(新生児集中治療室)に入院する重症新生児の約1割が遺伝性疾患を持つことに触れ、全ゲノム検査による早期診断の意義を解説しました。熟練の新生児科医でも診断に難渋した重症新生児の内、約半数がゲノム解析で分子遺伝学的原因が明らかになった成果を紹介され、差別がない社会に向けた法整備や社会全体での理解向上が重要と語りました。
武藤真祐氏は、問診や画像データからAIが希少疾患を発見する技術や、SaMD(プログラム医療機器)、遠隔医療の発展が医療情報の統合・分析を可能にし、専門医アクセスや正確な診断に寄与する点を強調しました。一方で、データ収集の困難さや医療倫理、セキュリティも課題であると言及しました。
山野嘉久氏は、患者会との対話を基に、診断遅延や専門医不足、患者の孤立や差別などの課題を挙げ、患者1人ひとりのデータが未来を変える強力なツールであり、患者レジストリの構築・活用による情報基盤整備が希少疾患の治療開発や課題解決の鍵になると紹介しました。
パネルディスカッションでは、前半の演者に大黒宏司氏と濱村美砂子が加わり、診断ラグ解決に向けた議論が交わされました。AI診断支援ツールやゲノム検査の普及は、技術導入を進めるとともに、国の制度整備や一般社会への正確な情報発信の重要性が確認されました。また、診断前段階からの医療データ収集や患者との協力体制強化も課題として共有され、「社会全体の理解なくして解決は難しい」との意見が強く支持されました。
本イベントを通じて、希少疾患における「診断ラグ」が医療の問題に留まらず、患者さんのQOL(生活の質)、社会参画、そして未来の医療技術の発展に深く関わる社会全体の課題であることが改めて浮き彫りなりました。当日の会場には希少疾患の患者さんや一般の方々約70名が参加され、オンライン視聴も300回以上と多くの方にご視聴いただきました。本イベントを契機に希少疾患の診断ラグ解消に向けた議論が進むことが期待されます。
引用1)アレクシオンファーマ合同会社「希少疾患白書「診断ラグ」の実態と解消に向けての提言」
https://alexionpharma.jp/-/media/alexionpharma_ajp/expo2025/rare-disease-wp_alexion_20250514.pdf
【会期後の取組み】
希少疾患は世界に1万種類以上存在し、総患者数は4億人と推定されています。その約80%が遺伝子異常によるもので、約50%が小児期に診断を受けています。希少疾患患者やその家族は、日常生活や医療面で多くの課題に直面しており、ヘルスエクイティ(医療の公平性)が十分に保障されていない現状があります。例えば、希少疾患患者が確定診断に至るまでには平均3.4年を要し、診断がついても確立した治療法があるのは10%程度の疾患に限られます。
アレクシオンファーマ合同会社は、本イベントに先立ち、2025年 5月14日に希少疾患領域でのさらなる貢献を目指すため、ヘルスエクイティ(医療の公平性)の実現に向けて大きな課題となっている診断ラグの分析およびその解決策を提示した「希少疾患白書 『診断ラグ』の実態と解消に向けての提言 ~最新テクノロジーと社会の力で実現するヘルスエクイティ~」を刊行しました。白書では、診断ラグが希少疾患患者のヘルスエクイティの実現における大きな障壁であると問題提起し、診断ラグがもたらす負担について、直接的な医療費を含め定量的なデータで示すとともに、診断の迅速化や医療アクセスの公平性を高めるために、中長期的な視点に立った現実的かつ実行可能な下記の6つの提言をまとめています。
提言1. 新生児マススクリーニング検査対象疾患を拡大するとともに、重症新生児に全ゲノム検査を取り入れるための環境整備を推進する
提言2. 医師が早期に疾患に気付けるためのAI診断支援ツール(SaMDなど)の活用を促進する
提言3. 希少疾患の「Center of Excellence」を構築し、非専門医・専門医のつながりを強化する
提言4. 希少疾患に関するデータが早期診断に活用される環境整備を推進する
提言5. 患者の声が反映された社会の実現に向け、患者団体などの意見の政策への反映の推進、及びそれに必要となる資金基盤の強化を支援する
提言6. 政府が推進する中核的取り組みに、希少疾患の診断ラグ/診断ロス解消に向けた施策を組み込む
本イベントでは、本白書の内容について、医師、患者会、AI企業、中間機関など多様な立場の専門家によって、より深い議論が交わされました。アレクシオンファーマは、本白書および本イベントでの議論をより多くの方々に広め、希少疾患および診断ラグについて社会全体での対話を促進するとともに、希少疾患に関わるさまざまな関係者と連携し、ヘルスエクイティが達成されたより良い未来の実現を目指して尽力してまいります。
「希少疾患白書『診断ラグ』の実態と解消に向けての提言」
https://alexionpharma.jp/-/media/alexionpharma_ajp/expo2025/rare-disease-wp_alexion_20250514.pdf
出演者情報
登壇者
大黒 宏司
一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会 代表理事
(一社)全国膠原病友の会常務理事 兼 大阪支部事務局。(一社)日本難病・疾病団体協議会代表理事(NPO法人大阪難病連所属)。大阪府堺市在住、大阪難病相談支援センター センター長。1999年に膠原病の中の「混合性結合組織病(MCTD)」を発症し、今年で25年が経過。理学療法士・社会福祉士。
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武内 俊樹
岡山大学 学術研究院 医歯薬学域 小児発達病因病態学分野 教授
医学博士。2002年慶應義塾大学医学部卒業。専門は小児科、小児神経学、臨床遺伝学。日本および米国の小児科・小児神経科専門医。日本小児神経学会評議員、日本小児遺伝学会理事。2023年日本医療研究開発機構(AMED)理事長賞を受賞。「Priority-i」研究代表者として重症新生児の迅速ゲノム診断を推進。
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西村 由希子
特定非営利活動法人 ASrid 理事長
明治大学理工学部卒業、東京大学理学系研究科博士課程修了。2010年日本・難病疾病団体協議会国際交流担当事務局長。2014年に希少・難治性疾患領域 に特化した中間機関NPO ASridを設立し、2016年に理事長就任。IRDiRC PACCメンバー、APARDO理事、日本医療研究開発機構アドバイザリーボード、日本製薬工業協会患者連携推進委員会アドバイザリーボード、一般社団法人知識流動システム研究所代表理事。
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武藤 真祐
株式会社インテグリティ・ヘルスケア 代表取締役会長
東大医学部卒・同大学院博士課程修了。東大病院、三井記念病院にて循環器内科に従事後、宮内庁で侍医を務める。マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、医療法人社団鉄祐会を創業。株式会社インテグリティ・ヘルスケア及び株式会社地域ヘルスケア連携基盤代表取締役会長。東京科学大学臨床教授。日本医療政策機構理事。経済同友会幹事。国際文化会館評議員。
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山野 嘉久
聖マリアンナ医科大学 ゲノム医療推進センター長 / 臨床研究データセンター長 / 難病治療研究センター 病因・病態解析部門 部門長 / 脳神経内科学 主任教授
鹿児島大学医学部卒・同大学院修了。米国国立衛生研究所研究員を経て、2006年より聖マリアンナ医科大学に着任。2020年から脳神経内科学主任教授。ゲノム医療推進センター長・臨床研究データセンター長を兼務し、希少疾患研究に従事。専門は脳神経内科学、HAM、神経免疫感染症。日本神経学会等の理事。
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濱村 美砂子
アレクシオンファーマ合同会社 社長
武田薬品工業にてR&Dや米国でのポートフォリオマネジメントに従事。同社JPBU事業開発部長等を経て、2019年よりJPBU希少疾患事業部長。「日本における希少疾患の課題」白書作成や診断コンソーシアム設立に尽力。2024年7月アレクシオンファーマ入社。京大薬学部卒、順天堂大博士課程修了、MBA保持。
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宮田 裕章
大阪・関西万博 テーマ事業プロデューサー / 慶応義塾大学 医学部教授
東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻修士課程修了。同分野保健学博士。データサイエンスなどの科学を駆使して社会変革に挑戦し、現実をより良くするための貢献を軸に研究活動を行う。アカデミアだけでなく、行政や経済団体、NPO、企業など様々なステークホルダーと連携して、新しい社会ビジョンを描く。宮田が共創する社会ビジョンの 1 つは、いのちを響き合わせて多様な社会を創り、その世界を共に体験する中で一人ひとりが輝くという“共鳴する社会”である。
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共催者名
アレクシオンファーマ合同会社
未来のコミュニティとモビリティ ウィーク
希少疾患の「診断ラグ」解消に向けて
~テクノロジーと社会の力で実現するヘルスエクイティ~
希少疾患の患者さんに公平な医療を届けるために、発症から診断までの時間がかかる「診断ラグ」をテーマに、医師、患者会、AI企業などの専門家とその現状や解決策について様々な視点から議論を進め、希少疾患・難病の患者さんの課題について理解を深めます。
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2025年05月23日(金)
18:30~20:15
(開場 18:00)
- テーマウィークスタジオ
- ※プログラム開催時間・内容は掲載時点の予定となります。変更については、当WEBサイトや入場券予約システム等で随時お知らせしてまいります。
- ※プログラムの性質上、実施主催者の都合等に因り、ご案内時刻等が変動する可能性があります。
©SANNA
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