EXPO2025 Theme Weeks

プログラム内容

「Visionary Exchange」は全3回を予定している招待制のプログラムで、今回は1回目です。参加者によるディスカッションやネットワーキングを通じて、テーマに沿った未来社会の展望を共有し、共通の理解やつながりを構築することを目指します。

10:00 開場/ウェルカム・コーヒー
10:30~12:00  第1部 スピーチ・プレゼンテーション
メイントピック「未来のコミュニティとモビリティ(誰もがその人らしく生きられるコミュニティとは?)」
サブトピック1.「レジリエンスと共創によるコミュニティづくり」
サブトピック2.「持続可能な都市・地域の発展とモビリティ」
サブトピック3.「リアルとデジタルが融合する社会」
サブトピック4.「インクルーシブでデジタル中心の次世代コミュニティ」

12:00~13:30 第2部 ランチ・ネットワーキング

実施レポート

【セッション1:レジリエンスと共創によるコミュニティづくり】

-プログラム要旨

本セッションでは、頻発する自然災害や急速な変化の時代における「都市・地域のレジリエンス」に焦点を当て、市民・企業・行政の協働によってどのように持続可能で安全・安心なコミュニティを築けるかを探求する。官民パートナーシップや優れたガバナンスによる活性化の実例を共有し、「未来にコミットする意思決定」の形成につながる実行可能なアイデアの発見を目的とする。

登壇者には、UAEのアリ・アル・マドファエイ氏とシンガポールのクレランス・チュア氏を迎え、伝統的知恵と最先端技術の融合による地域の安全とレジリエンス向上について議論を展開した。

-アリ・アル・マドファエイ氏 発言要旨

アリ・アル・マドファエイ氏は、「レジリエンスと共創によるコミュニティづくり」をテーマに、UAEの国家的な取り組みと哲学的な価値観を紹介した。特にUAEが1970年に初めて万博に参加して以来、経済発展や技術革新だけでなく、災害や不確実性の多い時代において社会の持続性をどう築いてきたかを振り返り、レジリエンスに必要な要素として“価値観に基づく選択”を強調した。

国家の進歩は建築物の高さやテクノロジーの先進性で測るのではなく、人々の命を守り、地域社会に安心と結束をもたらすことに真価があると述べた。さらに、伝統的な知恵とスマートな防災技術を組み合わせるUAEの取り組みを紹介し、こうした実践がレジリエンスと社会的持続性の礎となっていると語った。

また、イノベーションの本質についても、「競争のための開発」ではなく「人々の幸福を支える責任ある行動」と位置づけ、国際的な学び合いや協力関係が不可欠であると指摘した。レジリエンスは一国では完結せず、価値観を共有し互いの強みを補完しあうことによってのみ、未来の強靭な社会を築けると結んだ。

-クラレンス・チュア氏 発言要旨

クラレンス・チュア氏は、気候変動や災害に強いコミュニティを築くために、社会全体を巻き込む戦略的アプローチの重要性を強調した。シンガポールにおける具体的な実践として、政府の支援、地域コミュニティの関与、専門家の知見という「三つの柱」に基づいた連携体制を紹介し、レジリエンスの構築において多分野・多主体による協働の枠組みが不可欠であると述べた。

特に、政府横断の連携によりビジョンや目標を共有し、サンドボックスのような実験的空間を設けることで、地域が主体的に課題に取り組む環境を整えている点に触れた。こうした場では、トレードオフを理解し合意を形成するプロセスが重視され、フォーカスグループや協議会などを通じて多様な声を吸い上げている。

さらに、知識・情報ギャップを埋めるために専門家を招き、成功事例に基づいた具体策を展開している。ケンブリッジロードでの緑化活動を例に、レジリエンスが単なる防災にとどまらず、コミュニティの活性化にもつながることを提示した。

-参加者からの質問/コメント①

地域の伝統文化を活用したコミュニティの回復力強化に関して、「マジュリス」というUAE独自の共同体的な場がどのようにレジリエンスに貢献しているかを参加者がアリ・アル・マドファエイ氏に尋ねた。マジュリスは、結婚式や葬儀、地域会合など多様な用途で人々が集い、対話し、意思決定を行う場であると紹介し、具体的な役割や仕組みについての説明を求めた。

-アリ・アル・マドファエイ氏の回答/意見①

マドファエイ氏は、UAEのマジュリスがいかに共同体の信頼と連帯を育んできたかを強調。歴史的に、部族の長であるシャイフに相談し、支援や裁きを仰ぐ文化が根づいており、信頼を基盤とした社会構造が今も受け継がれていると述べた。コロナ禍において指導者が「重荷を背負うことはない」と語った言葉が社会全体を安心させたように、マジュリスは合意形成と安心を提供する空間であり、UAEにおけるレジリエンスの文化的中核であると語った。

-参加者からの質問/コメント②

「伝統や知恵が失われつつある時代において、UAEの経験から世界の他国がどのような学びを得られるか」と参加者が質問。現代社会において文化的基盤が希薄化しているとの問題意識のもと、UAEの実践から得られる普遍的な教訓に関心を寄せた。

-アリ・アル・マドファエイ氏の回答/意見②

マドファエイ氏は、UAEが砂漠という過酷な環境と乏しい資源の中で育まれてきた知恵にこそ、現代へのヒントがあると述べた。必要なものが限られていたからこそ、無駄を省き、あるものを最大限に活かす知恵と選択の感覚が鍛えられたと説明。その背景には、謙虚な出発点と制約の中で育まれた価値観があるとし、困難な状況が創造性と持続性の起点となると語った。

【セッション2:持続可能な都市・地域開発とモビリティ 】

-プログラム要旨

本セッションでは、進化を続けるインフラとモビリティテクノロジーが、都市および地域においてどのように市民中心の持続可能な成長を実現するかに焦点を当てる。

特に気候変動と世界的なエネルギー転換に直面する中で、都市・地域の在り方を再構築する必要性を提示し、環境的に持続可能で生活の質を高める都市設計の可能性を探る。

持続可能なインフラ整備やモビリティ・イノベーションが生活に与える影響、ならびに官民の役割を問うことで、包摂的かつレジリエントな未来都市の設計を目指す。

登壇者には、スマートシティ政策に取り組むリトアニアのルーカス・サヴィカス氏、太陽エネルギーによる都市開発を推進するアシーシュ・カンナ氏を迎え、異なる視座から持続可能な都市づくりの戦略を共有する。

-ルーカス・サヴィカス氏 発言要旨

ルーカス・サヴィカス氏は、リトアニアにおけるスマートシティ戦略を軸に、政府の役割と技術革新の実践例を紹介した。特にe-モビリティや再生可能エネルギーの統合、センチネル衛星による交通管理、プロテック分野での不動産改革など、複数の分野における先進的な取り組みを提示。

政府は公共調達をイノベーション促進のツールと捉え、GovTechラボ等を通じて民間企業との共創を進めており、制度・資金面からの支援を積極的に展開している。

また、2030年を見据えた再生可能エネルギー100%目標にも触れ、グリーンインフラの整備と都市のエネルギー自立を両立させる国家的ビジョンを強調。

官僚的制度を逆手に取り、機動的に試行・導入できる環境を整備することで、都市の持続可能性と競争力を高めている。政府はイノベーションの促進者であり、単なる規制者にとどまらないという明確な姿勢が、リトアニアにおける都市開発の原動力になっていると締めくくった。

-アシーシュ・カンナ氏 発言要旨

アシーシュ・カンナ氏は、太陽に関する国際的な連盟(ISA)を代表し、都市化とエネルギー転換が同時進行で進む現代において、再生可能エネルギーと都市計画の連動が不可欠であると指摘した。特に、今後建設される建物の7割が発展途上国に集中するという見通しを示し、今まさに「都市の未来」を設計する局面にあると強調。e-モビリティや太陽光屋根、自動運転技術の進展などにより、輸送や住宅の在り方も再定義されつつあると述べた。

再生可能エネルギー普及の鍵を「政策と規制」「社会的受容性」「都市設計との統合」の3領域に分類し、インドのように太陽光1000GWを導入する国では、土地・送電・バランシングといったインフラ課題に対応する法整備が不可欠だと説明。また、炭素クレジットなどの制度が家庭や地域への導入促進にも有効であり、技術だけでなく制度設計と地域社会の理解促進が都市のエネルギー転換を成功に導くと述べた。

-参加者からの質問/コメント①

参加者は、ルーカス・サヴィカス大臣に対し、スマートシティ政策におけるデジタル・グリーン投資と人材戦略の関係について質問を投げかけた。特に「最も希少な資源は“才能”である」との前提から、都市部のみならず地方においても、優れた人材を引き付け、育成し、維持するためにどのような取り組みを行っているかを尋ねた。

-ルーカス・サヴィカス氏の回答/意見①

サヴィカス氏は、ヴィリニュスだけでなく地方都市も欧州のグリーン・デジタル都市として急速に成長していることを紹介し、特に教育機関との連携による人材育成を重視していると回答。大学からのスキル供給支援や、新たな能力へのシフトを支援する特別プログラムの整備、さらに地方都市における人材プールの年次増加を挙げ、リトアニア全体が急速に対応していると説明した。スピード感のある政策と機動的な施策により、都市の競争力と持続可能性を支えていると締めくくった。

-参加者フロアからの質問/コメント②

参加者から、サヴィカス大臣に「市民をどのように意思決定に参画させているのか」という問いが投げかけられた。未来の都市は市民のものであるという視点から、都市計画における市民の声の重要性と、それをいかに反映させているかを問う内容であった。

-ルーカス・サヴィカス氏の回答/意見②

サヴィカス氏は、市民が意思決定に関与するプロセスこそが信頼構築の鍵であると述べ、リトアニアでは地方自治体の予算の一部を市民が直接投票で使途を決める仕組みがあると紹介。コミュニティが自らプロジェクトを提案し、支持を集めたものが実際に施策として採択されるという、市民参加型の制度が導入されていると説明した。重複や摩擦のリスクがあるとしても、社会の一部として市民が政策に関与する意義は大きく、政府と市民の共創的関係が都市の未来を形成すると強調した。

-参加者からの質問/コメント③

都市インフラと交通システムにおける再生可能エネルギーの統合について、太陽に関する国際的な連盟(ISA)のアシーシュ・カンナ氏に対し、123カ国という多様な加盟国を擁する中で、各国におけるスキル開発や能力構築の取り組みはどのように行われているかという質問があった。

-アシーシュ・カンナ氏の回答/意見③

カンナ氏は、ISAの中核的な取り組みとして、スキルと能力開発に特化した「センター・オブ・エクセレンス」を世界各国に設置していると説明。すでに16カ国に設立し、さらに50カ国から要請があることに触れた。インドのようなデジタル技術ハブを活用し、グローバルな連携ネットワークを構築することで、各国の人材育成を支援していると述べた。能力開発は単なる技術支援にとどまらず、地域に希望と尊厳をもたらすものであるとの理念も示し、さらなる国際連携への意欲を語った。

【セッション3:物理的世界とデジタル世界が融合する社会 】

-プログラム要旨

本セッションでは、デジタル技術の発展が物理的世界との統合を通じて社会に与える影響を問い直す。交通やモビリティを含む都市環境において、身体性と接続性、感覚と演算処理が交差する場面が増加するなか、テクノロジーが人間の生活や感覚、さらには倫理や責任のあり方にどのように作用するのかを検討する。

登壇者には、英国運輸省主席科学顧問のサラ・シャープレス氏を迎え、人間中心の交通技術の専門家として、量子技術、人工知能、インタラクティブメディア等の進化が、いかに包括的で持続可能な社会体験を形成しうるかを提示。物理的・生物的な次元が融合する未来において、社会が善のためにこれらのテクノロジーをどう活用すべきかを議論する。

-サラ・シャープレス氏 発言要旨

サラ・シャープレス氏は、交通体験における物理世界とデジタル世界の融合について、日常的な移動の変化から量子コンピューティングやメタバースまで、多様な視点から展望を語った。テクノロジーの発展により、移動体験は場所や時間の制約を超えたものへと進化しつつあり、映画鑑賞や3D視覚化、スマート決済といった複合的な行動がすでに実現していると述べた。さらに、AIや生体センシング技術が私たちの感情や身体データを解析し、メタバース上でリアルに近い社会的体験を可能にする未来像を提示。

一方で、これらの変化は「非接触の利便性」と「偶発的な人間関係の喪失」という両義的な側面を持ち、倫理や責任ある導入の必要性も強調。社会から疎外されている人々へのアクセス拡張というポジティブな可能性と、プライバシーやセキュリティをめぐるリスクの双方を見据えるべきと提言。技術の進化が誰一人取り残さない社会へとつながるよう、関係者全体が連携して方向性を示すことが重要だと結んだ。

-参加者からの質問/コメント①

メタバース業界に関わる参加者から、都市計画や交通分野における「ゲーム技術」の役割について質問が寄せられた。Apple Vision Pro の開発にも関与する参加者は、空間コンピューティング技術が今後の都市・交通体験にどのような影響を及ぼすかを問いかけた。

-サラ・シャープレス氏の回答/意見①

ゲーム・コミュニティは、低コストのセンシングやモニタリング技術の普及、三次元可視化ツールの開発促進など、空間技術の進化に大きく貢献してきたと評価。視覚化技術は、都市ナビゲーションの助けや、予期せぬ状況への備えにも役立つとし、特に神経障害を持つ人にとっては、事前に環境を理解・予測できることで不安を軽減し、安心して移動できる手段になると強調した。

-参加者からの質問/コメント②

参加者は、災害時の情報伝達手段としてのソーシャルメディア活用に言及。2011年の東日本大震災時にTwitterが有効だった事例を挙げつつ、高齢化が進む日本において、高齢者がスマートフォンを使いこなせず情報から取り残される現状を指摘。英国での高齢者支援策について質問した。

-サラ・シャープレス氏の回答/意見②

英国でも同様の課題を抱えており、特に交通機関のデジタル化では高齢者の排除につながる懸念があるとした上で、地域社会との連携が鍵だと説明。また、英国王立アカデミーの調査結果を引き合いに出し、デジタル・リテラシーは読み書き能力(リテラシー)と強く関係していると指摘。政府が果たすべき重要な役割は、数的・言語的リテラシーの底上げによって、高齢者が自信を持ってテクノロジーを活用できる基盤を整えることだと語った。

-参加者からの質問/コメント③

参加者は、日本・米国におけるデジタル技術と医療・ヘルスケアを融合させ、テクノロジーを活用したスタートアップ企業の進展を挙げつつ、行政や医療機関がAIやデジタル技術を有効に取り入れられていない現状に言及。NHSのような取組が英国で行われているが、医療分野におけるデジタル技術を活用するための政策や取り組みがあるか尋ねた。

-サラ・シャープレス氏の回答/意見③

英国も日本の在宅ロボット技術に刺激を受けており、高齢者が自宅で自立して生活・治療できることは、政府にとってもコスト削減につながると説明。

具体例として「Hospital at Home」構想や、センサー技術によるバイタルモニタリングを紹介し、若手医師を中心にポータブル機器の活用が進んでいると述べた。一方で、医師が自宅から患者を監視できる環境が整うことで、逆に心身の休息が取りづらくなるという副作用もあったとし、技術導入時にはその“使われ方”の実態と影響を慎重に評価する必要があると強調した。

【セッション4:インクルーシブかつデジタル中心の次世代コミュニティ 】

-プログラム要旨

最終セッションでは、多様な人々がテクノロジーを通じてつながり、共に生きる次世代のコミュニティのあり方について議論が行われた。経済効率や利便性にとどまらず、誰もが尊厳をもって社会に参加できる環境づくりを目指し、「インクルーシブ」と「デジタル・エンパワーメント」の観点から、現場での実践を交えて語られた。

登壇者には、障害者の声を可視化するメディア戦略に取り組む、ジョシュア・ツェン氏と、カナダにおいてアクセシブル・デザインやマインド・フレンドリーな空間設計を実践する建築家・教授であるヘンリー・ツァン氏を迎え、それぞれの立場から、多様性を起点としたデジタル社会の可能性が提示された。

-ジョシュア・ツェン氏 発言要旨

障害者の当事者として、またメディア戦略を専門とする立場から、「理解されたい」という切実な願いに基づき、障害者が自らの言葉で自身のストーリーを語るキャンペーンを立ち上げた。これは、政府広報ではなくTikTokやInstagramを通じて当事者が直接発信するもので、7人の障害者とその介助者が計42本の動画を投稿し、2,000万回以上の再生を記録した。

成功の要因の一つは「ユーモア」であり、重たいテーマであっても笑いや親しみを交えることで関心と共感が広がった。また、障害に関する素朴な疑問に率直に答える設計とすることで、見る側の好奇心を刺激し、学びへの自然な動機づけにつなげた。

障害を遠い存在として扱うのではなく、リアルな生活と感情、願いを見せることで、社会的マイノリティの存在が親しみのある存在へと転換される。このように、好奇心を起点とするコミュニティ形成は、教育的な介入以上に効果的であり、デジタル空間だからこそ実現できる包括的な社会参加の形だと述べた。

-ヘンリー・ツァン氏 発言要旨

ツァン氏は、カナダの多民族・多文化社会の経験に触れながら、「インクルージョン」とは単に誰かを包摂することではなく、「誰が包摂していないか」に気づく視点が欠かせないと指摘。社会的弱者側に責任を課すのではなく、社会の側がどう関わるかが問われていると強調した。

特に、建築や都市設計における代表性の欠如が構造的課題を生むとし、女性用トイレの設計を例に「設計に女性の視点が反映されていない現実」を批判。さらに、現在の建築基準法は災害時の安全性を目的とした「最低限の仕様」であり、アクセシビリティを人権として捉える視点が不足していると述べた。形式的なバリアフリーではなく、当事者の参画による設計の必要性を訴え、リック・ハンセン財団などによる「キャパシティ・ビルディング(包摂設計のための学習)」の重要性を紹介。空間設計において誰が意思決定に関わるかが社会の包摂性を左右すると結んだ。

-参加者からの質問/コメント

テクノロジーが多様な人々にもたらす恩恵とその活用方法について、2つの実例をもとに質問を投げかけた。1つ目は、Apple Vision Proの登場により視覚障害者が現実空間をある程度ナビゲートできるようになったケースであり、物理環境との新たな関わり方への可能性を示唆。2つ目は、サンフランシスコで女性が深夜に自動運転車を利用して安全に帰宅できた体験を紹介し、テクノロジーが安全性を高めることで生まれる“自由”や“解放感”の重要性を指摘。新技術が見落とされがちな人々に与えるインパクト、社会統合に際する課題への意見を求めた。

-ヘンリー・ツァン氏の回答/意見

安全とは社会が支え合い、誰もが守られていると感じられる状態をつくることだとし、日本のように子どもが一人で登校できる環境は、コミュニティの相互支援によって成り立っていると述べた。そのうえでテクノロジーの役割として、IoTやセンサー技術によって空間や建物に関する情報を取得し、それを必要とする人々に伝達する機能を強調。情報の存在自体よりも、誰に、どのように届けるかが重要だとし、モバイル機器などを通じた情報提供の工夫や、その活用のあり方に大きな可能性があると述べた。安心・安全を支える技術とは単なる装置ではなく、社会的な支援構造との接続によって初めて意義を持つと締めくくった。

-ジョシュア・ツェン氏の回答/意見

ジョシュア氏は、物理空間をナビゲートするための情報活用は視覚障害者にとって切実な課題であると述べ、アプリの可用性やチュートリアルの有無といった基本情報のアクセシビリティが出発点であると指摘した。視覚情報中心の発信は視覚障害者には届かない例として、駅や公共空間での写真掲示の実情を挙げ、NaviLensのような音声ナビゲーション技術を導入した取り組みが注目されていると紹介。また、情報にアクセスできるだけでなく、それを活用するためのリテラシー教育も不可欠とし、特に障害をもつ人々がツールを使いこなせる環境整備が求められるとした。今後の技術発展には、設計段階からのインクルーシブな視点が必要だと訴えた。

出演者情報

モデレータ

稲田 誠士

アジェンダ2025アドバイザー

外務省及び内閣官房を経て外資系コンサルティングファームに勤務後、世界経済フォーラムの上級職やユーラシア・グループの日本代表を歴任。現在は FGS グローバルのマネージングディレクターおよび大阪・関西万博アジェンダ2025アドバイザー、複数社のアドバイザーを務める。

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登壇者

アリ・アル・マドファエイ

アラブ首長国連邦 アブダビ民間防衛庁

アブダビ民間防衛の公共安全・緊急対応分野における戦略アドバイザー兼イノベーションリーダー。エンジニアリングのバックグラウンドを持ち、テクノロジー、政策、レジリエンスの分野で活躍。AI、UAV、自律型プラットフォームなどの先進システムを現実の緊急活動に導入する特別プロジェクトを監督。

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クラレンス・チュア

シンガポール経済開発庁シニアヴァイスプレジデント

シンガポール経済開発庁(EDB)のビジネス環境部門を率い、インセンティブや貿易に関する政策を監督している。日本・韓国地域の責任者。東京大学経済学部卒業後、EDBの国際政策部門とエレクトロニクス部門に勤務。2008年から2013年まで日本を拠点にEDBの日本・韓国事業を統括した。

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ルーカス・サヴィカス

リトアニア共和国 経済・イノベーション大臣

2024年11月よりリトアニア共和国経済・イノベーション大臣。2020年よりリトアニア議会議員、現在は人権委員会委員。
リトアニア投資家協会やリトアニア投資家フォーラムにおいて、首相補佐官として経済成長の促進に貢献。

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アシーシュ・カンナ

太陽に関する国際的な連盟(ISA)事務局長

南アジアなど15カ国以上の発展途上国のエネルギー部門で26年以上の経験を持つ。プロジェクトのコンセプト立案から資金調達、実施に至るまで、太陽光発電のバリューチェーン全般を手掛ける。世界銀行西・中央アフリカ・プログラムの前代表。

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サラ・シャープレス

英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)運輸省主席科学顧問

英国運輸省のチーフ・サイエンティフィック・アドバイザー。ノッティンガム大学工学部のヒューマンファクター教授であり、交通、製造、ヘルスケア分野の研究を主導してきた。 2024年には英国王立工学アカデミーのフェローに選出された。

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ジョシュア・ツェン

シンガポール・Blind Mice Media共同創業者

Blind Mice Mediaの共同設立者。同社はインクルーシブ・デザインを通じて社会の障壁を取り除くコンサルタント会社である。官民と協力して、アクセスしやすいテクノロジーやデジタル・インフラを構築し、すべての人が平等にアクセスできるようにしている。

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ヘンリー・ツァン

カナダ・アサバスカ大学准教授

アサバスカ大学 カナダ王立建築研究所 建築センター 議長 兼 准教授
東京大学社会科学研究所 客員研究員
カナダで高く評価されている建築家、教授。持続可能性と建築環境におけるIDEA(Inclusion, Diversity, Equity & Accessibility)の専門家。

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未来のコミュニティとモビリティ ウィーク

Agenda2025関連プログラム「Visionary Exchange」

Agenda2025関連プログラム「Visionary Exchange」と題して、「未来のコミュニティとモビリティ」をテーマにしたビジネス交流を開催します。この会合には万博の公式参加者のビジネス代表団、大学、科学者、政府関係者、アジェンダ2025主催プログラムのパネリスト、および日本の産学官等関係者が一堂に会し、テーマに沿ったディスカッションやネットワーキングを行います。(招待者のみのイベントです)

  • 20250516日(金)

    10:3013:30

    (開場 10:00)

  • EXPOサロン
  • ※プログラム開催時間・内容は掲載時点の予定となります。変更については、当WEBサイトや入場券予約システム等で随時お知らせしてまいります。
  • ※プログラムの性質上、実施主催者の都合等に因り、ご案内時刻等が変動する可能性があります。

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