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プログラム内容

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本セミナーでは、人類史からみた現在の食料システムの問題点、ギニアや西アフリカにおける農業や食品産業の現状と食糧安全保障の課題といった一般的背景を踏まえ、フォニオの作物、食品としての特色をどのように活かし、また日本の食品産業、消費者がどのような役割を果たすことで新たな食料システムの構築が達成できるのか、具体的な戦略をご紹介します。

〇ギニアにおける農業、食品産業と食糧安全保障

スレイマン・ベレテ(パビリオン副コミッショナー、ギニア輸出促進庁、経営学)
〇アフリカ農業の多様性と未来
田中 樹(摂南大学農学部教授、土壌学・農村開発学)
〇古代雑穀フォニオの魅力とバリューチェーン構築
水野 啓(SOCOフーズ株式会社代表取締役、立命館大学講師、コミュニティ開発学)
〇フォニオの機能性と健康食品としての可能性
谷 史人(京都大学農学研究科教授、食品科学)
〇パネルディスカッション「100億人時代の食料安全保障に向けて私たちは何をすべきか」

実施レポート

【振り返り】

2025年大阪・関西万博におけるギニア館のプログラムは、21世紀における最も差し迫った課題の一つ、すなわち100億人に迫る世界人口における食料安全保障と人間の健康の確保に焦点を当てました。洞察に富んだ一連のプレゼンテーションと議論を通じ、本イベントはこれらの地球規模の課題が持続可能な食料生産と不可分に結びついており、世界の食料システムにおけるパラダイムシフトが緊急に必要であることを強調しました。

セッションは、ギニア代表による日本及び万博協会への謝辞から始まり、協力への共通の決意を称えました。スレイマン・ベレテ博士とアブドゥラ・チャム氏は、ギニアの農業ポテンシャルを紹介し、同国を豊富な資源に恵まれた「地質学的な驚異」であると同時に肥沃な土壌に恵まれた農地であると説明しました。しかし、年間約60万トンの古代雑穀フォニオを生産しているにもかかわらず、ギニアが依然として米の主要輸入国であるという逆説を強調し、生産・加工・流通における構造的な格差を明らかにしました。

本プログラムは、栄養価の高さ、グルテンフリー特性、過酷な気候への適応力で知られる西アフリカの雑穀フォニオに焦点を当てました。ベレテ博士は、フォニオがギニア国内のみならず日本でも消費される「旗艦商品」となり、両地域を結ぶ架け橋となることを期待すると述べました。機械化の遅れ、インフラの脆弱性、市場アクセス不足、農民の識字率の低さといった課題についても率直に議論されました。

日本側からは水野啓氏、谷史人教授、田中樹教授らが学術的・技術的見地から共同研究やバリューチェーン構築の可能性を探り、科学・栄養学・地域連携を統合した新たな強靭な食料システムの重要性を強調。SDGsを超えたモデル構築の可能性を示しました。

本イベントは、農業イノベーション、伝統的知恵、国際協力が持続可能な開発を促進するためにいかに融合し得るかを示しました。フォニオは、食料安全保障を再考するための比喩的象徴であると同時に実践的ツールとして浮上し、より健康的で公平かつ持続可能な未来を追求するアフリカと日本の連携を象徴しました。

【会期後の取り組み】

2025年大阪・関西万博終了後、ギニア共和国は日本との協働で生み出された勢いを活かし、ギニア・日本フォニオ・バリューチェーン構想の強化を図ります。万博後の行動計画は、ギニアの農家、日本の研究者、民間パートナーを結びつけ、栽培・加工から流通・市場開拓に至るフォニオ生産の全段階の改善を目指します。

本イニシアチブでは、持続可能な農法、小規模機械化、栄養研究などの分野における技術移転を優先します。フォニオの特性を保ちつつ生産性を高める革新的加工技術を試験する共同パイロットプロジェクトを計画しています。同時に、若手農家や女性協同組合を対象とした能力開発プログラムを実施し、起業家精神と農村所得の多様化を促進します。

京都大学、摂南大学、およびギニアの農業機関との学術協力は、土壌健康、食品安全、気候変動に強い作物に関する共同研究を通じて継続されます。官民連携を促進し、フォニオを原料とした食品製品を日本およびアジア市場に導入することで、食生活の多様化に貢献し、アフリカのスーパーフードに対する世界的な認知度向上を図ります。

文化面では、このパートナーシップは食文化と教育を通じてアフリカと日本の相互理解を深めることを目指しています。調理実演、交換プログラム、文化フェアなどを通じて、フォニオを持続可能性と連帯の象徴として紹介する構想です。

2025年大阪・関西万博で構築されたネットワークと認知度を活用し、ギニアは伝統的な穀物を世界的な製品へと変革すると同時に、食料安全保障、気候適応、人間の健康という共通目標の推進を目指します。これは万博の共創の精神を体現する具体的な行動となるでしょう。

出演者情報

モデレータ

水野 啓

SOCOフーズ株式会社

京都大学農学部、地球環境学堂、東南アジア研究所等で地域計画学およびアジア・アフリカの農業とコミュニティ開発に関するフィールド研究・教育・実践事業に従事。2021年京大退職後SOCOフーズ株式会社を設立、日本にフォニオを広め市場とバリューチェーンを創出することをめざしている。

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スレイマン・ベレテ

ギニア輸出促進庁

1956年生まれ、ポーランドで大学、大学院教育を受ける。クンティア情報通信大学講師(マーケティング、広告)。大阪関西万博ギニアパビリオン副代表。2012年ソウル、2015年ミラノ、2016年アンタリア、2017年アスタナ、2019年北京、2020年ドバイ、2023年カタールの各万博でギニア代表を歴任。

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登壇者

田中 樹

摂南大学農学部

京都大学農学部、同地球環境学堂、総合地球環境学研究所を経て現職。ベトナム・フエ大学名誉教授。専門は土壌学・地域開発論・環境農学。アジア・アフリカの在来農耕、砂漠化対処等に関するフィールド研究や社会実践に取り組む。日立環境賞(環境大臣賞)、日経地球環境技術賞(優秀賞)など多数。

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谷 史人

京都大学農学研究科

1985年京都大学農学部食品工学科卒業、1990年同大学院博士課程修了(農学博士)、食糧科学研究所助手、農学研究科助教授、地球環境学堂准教授を経て2012年農学研究科教授。ヒトにとって好ましい食品とは何かをテーマに、新しい食素材の探求とその加工に取り組んでいる。

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アブドゥラ・チャム

ギニア輸出促進庁

法学士、経営管理学士、人事管理修士。ギニア輸出促進庁(AGUIPEX)の上級職員として大阪関西万博ギニアパビリオンダイレクターを務める。

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共催者名

SOCOフーズ株式会社

SDGs+Beyond いのち輝く未来社会 ウィーク

100億人時代の食べものと健康:アフリカと日本をつなぐ新たな食料システム構築に向けて

これからの地球社会が直面する最大の課題の一つは、食料安全保障と人間の健康です。それは深刻化する気候変動と、数十年で100億人に達する世界人口による需要増加によって脅かされています。現在の世界の食料システムの市場価値は10兆ドルといわれる一方、健康問題・環境破壊・食品廃棄による「隠れたコスト」は12兆ドルに上ります。世界の食料システムに抜本的なパラダイムシフトがもたらされない限り、食料安全保障と人間の健康において到達可能な「目標」は存在しないのです。※入場は先着順です。

  • 20251006日(月)

    18:0020:00

    (開場 17:30)

  • テーマウィークスタジオ
  • ※プログラム開催時間・内容は掲載時点の予定となります。変更については、当WEBサイトや入場券予約システム等で随時お知らせしてまいります。
  • ※プログラムの性質上、実施主催者の都合等に因り、ご案内時刻等が変動する可能性があります。

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