未来への文化共創 ウィーク
能からはじまる「いのちの高まり」~五感をひらこう!
大阪・関西万博テーマ事業 いのちを高める(中島プロデューサー)
能楽はユネスコ世界無形遺産第一号に登録された芸能ですが、その中には凝縮された日本人の精神性が変わることなく700年間伝えられてきました。中島氏は、1人ひとりに潜む多様ないのち(創造性)をひらくことをテーマにされていますが、「能楽」が内包する、日本人の遺伝子の中で伝えられてきた多様な価値観を、多様な人々が自分事として体感し、自分自身の中にいのちをひらくための礎を構築することを目的にワークショップを実施します。
対話プログラム
- 伝統芸能
- 文化芸術
- 歴史遺産
同時通訳 | 提供する |
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発信言語 | 日本語及び英語 |
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シグネチャープログラム
- 開催日時
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2025年04月25日(金)
14:30 ~ 16:30
(開場 14:15)
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- 開催場所
- 各パビリオン
- いのちの遊び場 クラゲ館
©steAm Inc. & Tetsuo Kobori Architects All Rights Reserved
プログラム内容
世界最古の現存する仮面劇である能楽の魅力を、様々な角度から再構築し、体験をして頂きます。700年間伝えられてきた能楽は、「人間力」だけで構成されています。謡(うたい)の声や舞(まい)の身体性に加え、日本工芸の粋ともいえる能面や能衣装、扇子、楽器等も全て人の手で作られてきました。そして、作り物(大道具)は能楽師自身が公演前に竹や布などで組立てて作り、簡素でありながら、最大の効果が生まれます。また、能楽は室町時代の言葉で演じられているため、「むずかしい」といった印象を持たれがちですが、その中には和歌や源氏物語、平家物語等の古典文学が取り入れられ、「美しい日本のことば」であふれています。その意味を知り、言葉として発することも感性をひらく大きな要素になると考えます。これらのいわば「能が700年間大切にしてきた秘密」を紐解き、現代につなげ、日本人が大切にしてきた美意識や感受性を「ひらく」ことで、世界からの多様な人々がその価値観を共有し、そこから生まれる新たな創造のための起爆剤になるよう取り組みます。
(ワークショップ例)
・能衣装の意味 ・能面の不思議 ・能のことば ・能の音 ・能の動きなど
*本2時間の間に複数回のワークショップを実施予定です。
実施レポート
【振り返り】
本ワークショップでは、山本能楽堂が中心となって、「世界最古の現存する仮面劇」である能楽を、多角的に体験・再構築する場として、2時間の中で複数のミニワークショップを展開しました。参加者が、能装束を実際に着てみる、能面を自分の顔につけてみる、能の楽器(笛・小鼓・大鼓・太鼓)をマンツーマンで直接説明を受け、演奏してみる・・・など、700年間受け継がれてきた伝統の“秘密”を丁寧に紐解くことで、来場者に能楽の美の本質に触れていただく機会となりました。
参加者からは「お能は敷居が高いと思っていたが、実際に体験することで親しみがわいた」「能面は無表情だと思っていたが、わずかな傾きで、むしろ深い感情を呼び起こすことに驚いた」などの声が多く寄せられ、年齢や国籍を問わず強い関心が示されました。とくに外国人来場者にとっては、日本の精神文化の核心に触れる貴重な体験となり、舞台芸術を単に体験する機会を越え、 “感性や感覚が開かれる”の教育の場にもなりました。
そして、これらのワークショップを行った後、クラゲ館に簡易な舞台を設営し、能「羽衣」の一部を上演し、「本物の日本の伝統芸能」を鑑賞する機会が創出できました。山本能楽堂が実施したワークショップと公演の構成は、これまでにない新しい視点で「今を生き、未来へとつながっていく伝統芸能でありたい」という思いが強く感じられ、「参加することで、誰もが伝統芸能の魅力を体感できる」よう効率的な手法で実施されたことに感銘を受けました。そして、能楽の中に内包される、様々な要素が、珠玉の美しさとなって、クラゲ館の空間と呼応し、新たな魅力を発信する機会になったと感じています。
また、万博が開幕してすぐの時期に、本企画を実施したことで、日本の伝統文化の核心に触れることができ、参加者ならびに関係者一同、日本文化が本来持つ素晴らしさやその特徴に気づくきっかけとなり、「これぞ万博!万博はこうでなくては・・・!という「空気」を強く深く感じる場となりました。
*反省点としては、配布資料を事前に申請できておらず、本当は資料を見ながら参加者が能の謡を一緒にうたう予定だったのですが、今回は配布できずに終わりました。できるだけ参加型でお能を身近に体験して欲しいという想いが詰まったワークショップであったからこそ、残念ですが、次に生かしていきたいと考えています。
【会期後の取り組み】
今回のワークショップを契機として、能楽の伝統的価値を現代的な視点で再解釈し、今の時代に、一般市民の方がわかりやすく体験的に学ぶ機会を創出することで、過去と現在を結び、未来へとつなぐ取り組みを広げていきます。特に、若年層や外国人を含む多様な参加者が「体験」を通じて能楽に対する感動を生み出し、自らの感性に気づく姿が多く見られたことは、今後の文化継承の新たなヒントとなりました。
会期後は、教育機関や地域文化施設と連携し、「能楽×ことば」「能面×造形」「能楽×身体×STEAM(テクノロジー)」などのテーマを軸にした体験型プログラムを展開予定です。とりわけ、STEAM教育や探究学習の観点からも、能楽が持つ総合芸術的価値は、国際的な教育プログラムにも応用可能と考えられます。
また、今回のプログラム内容をモデル化し、一部オンライン映像や教材として編集・再構成することで、国内外に広く展開・発信する計画も進行中です。さらには、数学や技術やものづくりと文化・芸術を組み合わせ、例えば能の舞の動きに合わせて能の笛の音色が少し変わる・・・などのようなテクノロジーの魔法を用いた新たな協奏 STEAM の実験も考えています。
このように、700年の時を超えて継承されてきた能楽の精神性と身体性を、現代社会と未来の国際社会に向けて橋渡しする実践を継続的に行ってまいります。
出演者情報
モデレータ
中島 さち子
テーマ事業「いのちを高める」(2025年日本国際博覧会協会)
音楽家・数学研究者・STEAM 教育者。
(株)steAm 代表取締役、(一社)steAm BAND代表理事、大阪・関西万博テーマ事業プロデューサー、内閣府STEM Girls Ambassador、国際数学オリンピック金メダリスト。音楽数学教育と共にアート&テクノロジーの研究も進める。クレ・デ・ポー ボーテ(資生堂) Power Of Radiance Award 2025受賞者。
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登壇者
©Yamamoto Noh Theater
山本 章弘
公益財団法人 山本能楽堂
観世流能楽師シテ方、重要無形文化財総合指定保持者
公益財団法人 山本能楽堂代表理事
公益社団法人 能楽協会理事
2012年 ティファニー財団「伝統文化大賞」
2012年 関西元気文化圏賞
2015年 日本水大賞
2015年 国際交流基金「地球市民賞」
2017年 外務大臣表彰 グッドデザイン賞
2021年 大阪文化賞
2023年 毎日地球未来賞 クボタ賞
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©Yamamoto Noh Theater
山本 佳誌枝
公益財団法人 山本能楽堂
公益財団法人 山本能楽堂 事務局長
2013-15 いけばなインターナショナル大阪支部長
2015 大阪府市都市魅力戦略会議委員 2016大阪サクヤヒメ賞受賞
2017-19 関西広域連合会議委員 2018 関西財界セミナー「輝く女性賞」受賞
2024~大阪商工会議所ツーリズム振興会副委員長
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©Yamamoto Noh Theater
山本 麗晃
公益財団法人 山本能楽堂
観世流能楽師シテ方
初舞台は3歳
「岩船」「乱」「石橋」など披く
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共催者名
公益財団法人 山本能楽堂
未来への文化共創 ウィーク
能からはじまる「いのちの高まり」~五感をひらこう!
能楽はユネスコ世界無形遺産第一号に登録された芸能ですが、その中には凝縮された日本人の精神性が変わることなく700年間伝えられてきました。中島氏は、1人ひとりに潜む多様ないのち(創造性)をひらくことをテーマにされていますが、「能楽」が内包する、日本人の遺伝子の中で伝えられてきた多様な価値観を、多様な人々が自分事として体感し、自分自身の中にいのちをひらくための礎を構築することを目的にワークショップを実施します。
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2025年04月25日(金)
14:30~16:30
(開場 14:15)
- 各パビリオン
- ※プログラム開催時間・内容は掲載時点の予定となります。変更については、当WEBサイトや入場券予約システム等で随時お知らせしてまいります。
- ※プログラムの性質上、実施主催者の都合等に因り、ご案内時刻等が変動する可能性があります。
©steAm Inc. & Tetsuo Kobori Architects All Rights Reserved
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