平和と人権 ウィーク
人間国宝を讃える:多様性を尊重し、平等を推進する
サウジアラビア王国
本プログラムでは、無形文化遺産として認定された「人間国宝」が果たす重要な役割に焦点を当てます。多様な文化を称え、平等を推進するうえで、伝統芸能の名匠を認識し敬意を表することがいかに大切かを考えます。
伝統芸術の巨匠に目を向けることは、文化的景観を豊かにすると同時に、芸術における多様な声に力を与えることにつながります。
また、伝統の継承、地域社会のつながりの促進、そして包摂性の向上といったテーマについても議論します。
対話プログラム
- 多様性と包摂性
同時通訳 | 提供する |
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発信言語 | 日本語及び英語 |
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トラックプログラム
- 開催日時
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2025年08月08日(金)
11:00 ~ 13:00
(開場 10:30)
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- 開催場所
- 各パビリオン
- サウジアラビアパビリオン
プログラム内容
本セッションでは以下の内容を取り上げます:
・人間国宝(Living National Treasures:LNT)の定義、認定基準、および国内外における歴史的背景
・コミュニティにおける個人として、また国内外での文化的象徴としての LNT の役割
・芸術作品の創造、国際的な発信力、そして交流を通じた LNT の意義
・LNT がその活動を継続していくための支援や促進の手段
実施レポート
【振り返り】
本プログラムでは、王立伝統芸術研究所(WRTH)が推進する「リビング・ナショナル・トレジャーズ(LNT)」プログラムを通じて、伝統芸術の保存・活性化に取り組みました。プログラムを通して、熟練職人の知識や技術の継承の重要性、地域社会との関わり、そして文化的価値の現代社会への応用の可能性が改めて確認されました。主な成果や知見は以下の通りです。
LNTプログラムの重点領域:絶滅の危機にある工芸品の保護、知識伝達とメンターシップの推進、地域社会での尊重、倫理的行動を重視しています。これにより、職人が単なる技能者ではなく、文化の守護者として位置付けられています。
評価フレームワーク:ユネスコや国際基準に基づき、推薦・記録作成・現地調査・委員会承認のステップを経て認定職人を選定しています。透明性の高い評価プロセスにより、公正かつ継続可能な文化保護が実現しています。
認定職人への支援:経済的支援として助成金、委託制作、表彰を提供し、非経済的支援として記録作成、研修、メディア露出、デザイン協働、政策助言なども行っています。これにより、職人の活動の持続可能性と社会的影響力が高まっています。
影響・成果:これまでに48名のマスター職人が認定され、70以上の工芸技術が記録されています。全国で1,800名以上の職人が登録し、全地域から参加があり、女性の割合は約40%です。多様な参加者の存在が、文化の普及と継承に大きく貢献しています。
文化的意義とSDGsへの貢献:伝統を生きた形で保持・適応させることで、記憶や文化参加の権利を守り、持続可能性や地域コミュニティのレジリエンス向上に寄与しています。また、教育の質向上、格差是正、持続可能な地域社会など、国連持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも貢献しています。
WRTHの取り組みにより、伝統芸術は固定的な文化遺産ではなく、サウジ社会を豊かにする生きた文化資源として提示され、文化の多様性、公平性、包括的な参加の促進につながっています。今後も、伝統の継承と現代社会への応用の両立が、文化の持続的発展に大きく寄与することが確認されました。
【会期後の取り組み】
WRTHは、万博で得られた機運を持続可能な文化的インパクトへとつなげることを目指し、以下の4つの取組みを推進しています。
教育・研修の拡充:認定職人によるワークショップや研修を全国的に拡大し、若い世代や地域コミュニティへの技術伝承を強化します。伝統技術を保持しつつ、現代デザインやテクノロジーの要素を統合し、工芸の持続可能な発展を促進します。これにより、学生や地域住民が主体的に学び、技能と創造性を身につける環境を整えます。
研究・記録の充実:詳細な研究と記録作成を通じ、政策立案や文化交流の基礎を構築します。デジタルツールや3Dモデリングを活用して工芸を革新的にアーカイブ・展示し、国内外の研究者や教育者がアクセスできるデジタル資料を整備します。これにより、伝統技術の保存と現代的活用が両立します。
国際協力の強化:万博を通じて構築したネットワークを活用し、サウジ工芸の国際的認知度向上を図ります。文化外交や海外機関とのベンチマークを進め、女性や地域コミュニティの参画拡大、工芸と地域開発・経済機会との連携も促進します。これにより、サウジアラビアの伝統芸術がグローバルな文化資源として認知され、持続可能な地域社会の発展にも貢献します。
長期的展望:万博での展示は一時的な発表ではなく、WRTHの長期的な文化政策の出発点です。伝統への敬意と革新を両立させ、国内外で文化の多様性と平等を推進してまいります。今後も、伝統の継承と現代社会への応用をバランスよく進め、持続可能な文化発展を目指します。
これらの取組みにより、WRTHは伝統芸術の保存・活性化を通じて、社会における文化的価値の向上と地域コミュニティの持続可能性の両立を実現してまいります。若い世代や地域社会が主体的に文化に関わる機会が広がることで、伝統芸術を通じた地域の活性化と持続可能な文化創造がさらに進展すると考えられます。
出演者情報
登壇者
ヌハ・アルシャリフ博士
WRTH 研究・知的財産部門ディレクター
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共催者名
王立伝統芸術研究所(WRTH)
平和と人権 ウィーク
人間国宝を讃える:多様性を尊重し、平等を推進する
本プログラムでは、無形文化遺産として認定された「人間国宝」が果たす重要な役割に焦点を当てます。多様な文化を称え、平等を推進するうえで、伝統芸能の名匠を認識し敬意を表することがいかに大切かを考えます。
伝統芸術の巨匠に目を向けることは、文化的景観を豊かにすると同時に、芸術における多様な声に力を与えることにつながります。
また、伝統の継承、地域社会のつながりの促進、そして包摂性の向上といったテーマについても議論します。
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2025年08月08日(金)
11:00~13:00
(開場 10:30)
- 各パビリオン
- ※プログラム開催時間・内容は掲載時点の予定となります。変更については、当WEBサイトや入場券予約システム等で随時お知らせしてまいります。
- ※プログラムの性質上、実施主催者の都合等に因り、ご案内時刻等が変動する可能性があります。
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