EXPO2025 Theme Weeks

ハイライト

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01:20:42 ハイライトシーン2

01:28:38 ハイライトシーン3

プログラム内容

*字幕:YouTube動画の右下「歯車」マークの「字幕」よりお選び下さい。
(複数言語、音声が重なる際等、字幕が掲出されない場合があります)


本プログラムでは、まず、平和や人権保障に関する2050年に向けたビジョンを検討した研究の成果を発表します。2050年にいかなる社会が実現していると考えられるか、こうした未来を実現するために何が必要だと考えられるかについて、研究の経過を紹介し、その成果を発表します。その上で、今後の平和や人権を検討するために重要な役割を果たす方々をお呼びし、この研究の成果について、それぞれの知見をご提示いただき、検討すべき事柄についてご紹介いただきます。平和や人権に関わる狭義の研究者だけでなく、平和や人権に関心を持つ異なる背景を持ったゲスト登壇者が議論します。戦争といった平和を議論する際に検討されることの多いテーマに加えて、科学技術や性的指向、学校教育、難民などの視点も含めて議論し、平和や人権を多角的な視点から議論します。参加者それぞれが平和や人権について考え、今後必要となる事柄について議論し、今後必要なアクションについて考えるプログラムです。

実施レポート

【振り返り】
本セッションは、平和と人権の実現に向けて、どのような社会的・倫理的基盤が必要かを多角的に考える時間となりました。モデレーターの秋山肇氏(筑波大学)は、まず2050年を見据えた研究成果を紹介し、「平和=戦争の不在」に留まらない包括的理解が求められていることを強調しました。多くの人が“平和”を戦争と対比して考える傾向にある一方で、真に必要なのは命や多様性を尊重する倫理観と、それを支える社会制度であると述べました。また、SNSなどがもたらす同質化の傾向によって、異なる価値観に触れる機会が減りつつある現状を指摘し、「心地よくない現実を自ら選び取る勇気」が、分断を超える第一歩になると語りました。

サンドラ・ヘフェリン氏(コラムニスト)は、自身の多文化的背景をもとに、「日本人/外国人」という線引きの曖昧さを指摘しました。国籍や見た目で人を判断する風潮は、社会を狭めるものであり、特に日本が抱える少子高齢化や人手不足の現実を見れば、多様性を受け入れることこそが持続可能な社会への道であると述べました。

佐々木萌氏(清泉女子大学)は、ルワンダでの和解活動の経験を通して、人と人との「対話の場」をつくることの重要性を語りました。対話を通して相互理解が進み、被害者と加害者というレッテルを超えて人間的な関係を取り戻すことができると強調しました。加えて、対話には非暴力コミュニケーションやトラウマケアなどのスキルが不可欠であり、それを教育や社会活動の中で育てていく必要があると述べました。

熊谷誠慈氏(京都大学)は、仏教思想の視点から「内的平和」と「外的平和」の連動を提示しました。個人が怒りや煩悩を抑え、慈悲と利他の心を育むことが、結果として社会全体の平和へとつながると述べました。また、AIなどの先端技術を慎重に活用することで、紛争解決や理解促進を加速させる可能性についても言及しました。

上野流星氏(筑波大学大学院)は、科学技術と社会を分断せず統合的に考える必要性を強調しました。文系と理系を分ける教育構造そのものを問い直し、知の越境を通じて共通理解を広げることが、対話的な社会を築く鍵になると語りました。最後に登壇者全員が、異なる立場や価値観を持つ人々が「線引きを越えて」共に考え、変わり続ける勇気を持つことの重要性を共有してセッションを締めくくりました。


【会期後の取組み】
本セッションを通して示された未来像として、「対話と共創を基盤とした包摂社会の形成」が挙げられるでしょう。まず、秋山氏は、万博会期後は教育現場や地域社会において、多様な背景を持つ人々が定期的に出会い、対話を通して理解を深める仕組みを整えていく必要性を述べました。SNSなどがもたらす分断を乗り越えるために、あえて「心地よくない意見」に触れる訓練を社会教育の一環として実践していく計画も示されました。

ヘフェリン氏は、日本がこれから迎える人口減少社会において、外国人労働者や移民が重要な役割を担うようになると指摘し、相互理解を深める仕組みを教育やメディアの場で拡充していく必要があると述べました。万博会期後も多文化共生を“特別なテーマ”ではなく“生活の前提”として扱う社会づくりが必要とされています。

佐々木氏は、東北アジア地域での平和構築教育を継続的に展開し、市民一人ひとりが「対話を可能にする力」を育てる重要性を述べました。そのために、万博会期後も非暴力コミュニケーションやトラウマケアのスキルを学ぶ教育プログラムを拡大し、若い世代が多様性を恐れずに協働できる環境をつくる構想が共有されました。

熊谷氏は、仏教的な「利他」と「縁起」の思想をテクノロジーと結びつけ、AIを用いた心の可視化や紛争分析の研究の可能性を紹介しました。万博会期後も精神的平和を出発点として社会的平和を広げる仕組みを構築し、「内面から世界を変える」アプローチを実践していく構想が示されました。

上野氏は、学問領域の垣根を超えた共同研究を推進し、文理融合の教育を強化していく必要性に言及しました。特に、人権やジェンダーの問題をテクノロジー開発の段階から検討する枠組みを整備し、倫理と科学が共存する社会モデルを提案していく方針が語られました。

全体として、登壇者たちは「平和」や「人権」を静的な理想ではなく、“不断に更新し続ける実践”として捉えていました。万博以降2050年に向けて、多様な価値観を抱えた人々が対話と協働を重ねることで、持続可能な倫理と制度を形づくっていく予定です。そして大阪・関西万博の経験が、その未来へ向かう第一歩として継承されていくことが期待されています。


※このレポートの一部または全部はAIによって生成されました。

出演者情報

モデレータ

秋山 肇

筑波大学 人文社会系

筑波大学人文社会系助教。国際基督教大学連携客員准教授。専門は平和研究、憲法、国際法、国際機構論。国際基督教大学にて学士(教養)、修士(平和研究)、博士(学術)を取得。主に無国籍、ポスト・アントロポセンについて研究している。2022年度、2024年度筑波大学BEST FACULTY MEMBER。NPO法人無国籍ネットワーク共同代表。

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登壇者

サンドラ ヘフェリン

コラムニスト

サンドラ・ヘフェリン(コラムニスト)ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住25年。日本語とドイツ語の両方が母国語。「多文化共生」をテーマに執筆。著書に「体育会系 日本を蝕む病」(光文社新書)、「ドイツの女性はヒールを履かないー-無理しない、ストレスから自由になる生き方」(自由国民社)など。

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上野 流星

筑波大学大学院 国際公共政策学位プログラム 博士後期課程

筑波大学大学院国際公共政策学位プログラム博士後期課程に在籍し、平和学とクィア・スタディーズの学際的視点から、クィア(性的少数者)に関する研究を行っています。また同時に、クィア・スタディーズの研究者を可視化する活動を行っています。

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熊谷 誠慈(ビデオ登壇を予定)

京都大学 人と社会の未来研究院

専門は仏教学(インド・チベット・ブータン)およびボン教研究。古文書を通じた古代の思想・歴史の解明を行うとともに、文理融合で「伝統知テック」や「こころテック」の開発も推進する。

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佐々木 萌

清泉女子大学 地球市民学部

清泉女子大学地球市民学部専任講師。専門は平和学及び記憶と政治理論。東北アジア地域平和構築インスティチュートの副理事として教育プログラムを通した平和文化の構築にも取り組んでいる。NGOや国連での活動を通して開発事業に携わってきた。国際基督教大学にて学士、SOASロンドン大学にて修士を取得。

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平和と人権 ウィーク

万博で考える平和と人権:平和はいかに実現し、人権はいかに保障できるのか? 
アジェンダ2025共創プログラム

【2050年の未来像の仮説】
平和実現や人権保障のために必要な倫理観や社会制度について一定の合意が得られる。
平和や人権は、社会において重要だと考えられている価値ですが、様々な地球規模課題が起きています。私たちは平和の実現や人権保障のために何ができるのでしょうか。多様な人々が集い、平和とは何か、人権とは何か、いかにそうした価値が実現するのかを議論し、今後必要なアクションを考えます。

  • 20250809日(土)

    14:3016:00

    (開場 14:00)

  • テーマウィークスタジオ
  • ※プログラム開催時間・内容は掲載時点の予定となります。変更については、当WEBサイトや入場券予約システム等で随時お知らせしてまいります。
  • ※プログラムの性質上、実施主催者の都合等に因り、ご案内時刻等が変動する可能性があります。

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