EXPO2025 Theme Weeks

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プログラム内容

JICAは国際機関、NGO、民間企業、大学と連携し、開発途上国の母子保健分野で国際協力を進めています。これらの国々では、ワクチンや医薬品、医療従事者が不足し、母子が適切な治療を受けられず命の危険に晒されています。JICAは病院建設や医療機材の供与、医療従事者の訓練とともに、世界36か国で母子手帳を活用し、母子継続ケアを推進しています。日本の母子保健を支える母子手帳を広めることで、必要な医療を受診し家庭でも適切なケアができるよう支援しています。また、母子保健分野ではデジタルソリューションの活用が進んでおり、母子手帳や妊娠、出産、産後、子どものケアに関連するアプリやデジタルツールが導入されています。これらのツールは質の高い母子保健サービスを提供するための重要な役割を果たしています。本プログラムでは、ブータン、ガーナ、そして日本での電子化の取り組み、その成果と課題を共有しながら、未来の母子の健康とウェルビーイングを目指すために産官民の共創のありかたを模索します。

実施レポート

【振り返り】
本プログラムでは、ブータンとガーナの母子保健分野におけるデジタルソリューションの導入経験や、日本の母子保健の変遷とデジタルトランスフォーメーション(DX化)の取り組み、JICAが開発途上国の母子保健支援としてデジタルソリューションを導入した経験について紹介しました。そして、これらの成果や課題、教訓をもとに、未来に向けて産官民がどのように協力・共創ができるかについて議論しました。具体例として、ブータンでは医療機器としての基準を満たしながら軽量で誰でも使えるモバイル型胎児心拍数陣痛モニター(分娩監視装置)「iCTG」を国内80カ所に設置し、早期合併症の発見、搬送を可能にすることで、母と子どもの命を守っています。ガーナでは、母子手帳の活用を支援する業務支援型アプリケーションを開発、導入し、母子手帳の記入率や栄養カウンセリングの質や実施率が改善しました。日本は戦後、母子手帳や健診事業の普及などによって母子保健指標を急速に改善しましたが、母子保健分野のDX化ではやや後れを取っていますが、自治体・医療機関・住民をつなぐ情報連携システム(Public Medical Hub)構想を基に着実に進展しています。パネルディスカッションでは、持続的な事業の展開には、関係者間の信頼関係構築が不可欠であること、現地を訪れ、話を聞き、人々のニーズに直接応えるソリューションを開発することで効果的なツールとなることが指摘されました。また、各国政府、国連機関、援助機関、民間企業、市民団体、学際機関が一丸となって取り組むことで、課題解決が可能になることも強調されました。さらに、デジタル機器やデータを活用するためには、人材育成、データの相互運用性、データ保護のための規制や規制に対する柔軟な対応も必要であることなども述べられました。本イベントは、今後デジタルソリューションを用いて保健課題を解決しようとする際の大切な学びになるとともに、開発パートナーがどのように共創を推進するかについて考える場となりました。

【会期後の取組み】
JICAは、女性と子どもの健康とウェルビーイングを達成するための取り組みを続けていきます。全ての女性と子どもが質の高い継続ケアを受けることができ、家庭でのケアが適切に行われることを目指します。JICAは保健人材育成、施設機材整備、コミュニティ活動をコア領域とし、活動に取り組んでいきます。また、母子手帳やデジタルソリューションの活用を進めていきます。各国の母子保健課題解決のためには、相手国政府および国際機関、民間企業、市民団体、学術機関を含めた開発パートナーとの共創が不可欠です。JICAは、今回のプログラムのように、多様なヒトや情報が集まり共創する場、プラットフォームを作ります。その中で、開発インパクトを最大化させる共創のあり方を模索し、その実施を推進します。

出演者情報

モデレータ

小澤 真紀

独立行政法人国際協力機構 人間開発部保健第2グループ第3チーム 課長

JICA本部にて東南アジア・大洋州地域の保健医療事業を総括。母子保健・栄養分野の地域横断的窓口も務める。2022年6月より現職。

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登壇者

萩原 明子

独立行政法人国際協力機構 国際協力専門員

JICA保健分野の協力事業に従事。パレスチナ、ガーナでは現地政府と共に母子手帳を開発・普及、母子保健改善に寄与した。米国オハイオ州立大学Ph.D.(健康増進)、お茶の水女子大学、同修士課程修了。「生命のパスポート-人々をつなぐ母子健康手帳-」(助産雑誌)など執筆。横浜市出身。

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眞塚 麻里江

日本電気株式会社(NEC) 国際協力事業統括部 主任

2019年日本電気株式会社に入社。グローバルヘルス・農業DX分野にて、国際機関を含むパートナーとの連携を通じ、ICTを活用した社会課題解決をビジネスで推進。ガーナ母子栄養改善案件ではステークホルダーとの連携から実行支援を行い、問診サポートアプリを活用した保健師の指導レベルの標準化を実現。

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尾形 優子

メロディ・インターナショナル株式会社

京都大学大学院工学研究科修了後、2度の創業。1度目は日本初の産婦人科電子カルテの事業化に成功。メロディ・インターナショナルではインターネットと医療ICTの草創期からの経験を生かし、妊婦さんと赤ちゃんの安心・安全のための周産期遠隔医療プラットフォームの構築とビジネス化を目指す。

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山縣 然太朗

国立成育医療研究センター成育こどもシンクタンク 副所長

山梨医科大学(現山梨大学)を卒業(1986年)。1999年に同大学教授(社会医学講座)。2024年3月に定年退職後、現職。社会医学系専門医・指導医。専門は公衆衛生学、疫学、人類遺伝学。主にエコチル調査等の出生コホート研究を実施。こども家庭審議会等国の委員会の委員を歴任している。

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ケネディ・テッテイ・コフィー・ブライトソン

ガーナヘルスサービス 家族保健局 局長

ドネツク国立医科大学を卒業後、ガーナ大学で公衆衛生修士を取得し、保健行政、リーダーシップ、ガバナンスに関する複数の資格を持つ。母子保健、リプロダクティブ・ヘルス政策、病院経営への貢献により、国内外で賞を受賞。20年以上の経験を持つ公衆衛生専門医であり、母性・生殖医療の専門家である。

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モンガル・シン・グルン

ブータン保健省 保健情報研究室 室長

専門はデジタルヘルス変革、ヘルスデータ分析、政策開発。国家eヘルス戦略2018の実施において中心的な役割を担い、DHIS2導入、電子患者情報システム導入、ICD-11導入などの功績がある。現在はプライマリーヘルスケアとユニバーサルヘルスカバレッジを強化するための国家デジタルヘルス戦略2025-2030を主導している。

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健康とウェルビーイング ウィーク

こどもの未来を育むために: 母子手帳と母子保健分野におけるデジタルソリューション

母子保健分野におけるデジタルソリューションが果たす役割・可能性について議論し、女性と子の健康とウェルビーイングのために、日本や各参加国政府、行政機関、民間企業・団体等それぞれの立場でできることは何か、どのように共創することができるのかを、見つけていただく機会を提供します。

  • 20250620日(金)

    10:3012:00

    (開場 10:00)

  • テーマウィークスタジオ
  • ※プログラム開催時間・内容は掲載時点の予定となります。変更については、当WEBサイトや入場券予約システム等で随時お知らせしてまいります。
  • ※プログラムの性質上、実施主催者の都合等に因り、ご案内時刻等が変動する可能性があります。

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本プログラムへは予約が必須となっております。

原則「2カ月前抽選」から予約対象となりますが、詳細な予約開始時期、予約状況等については下記サイトをご確認ください。

※開演時間を過ぎた場合、入場できない可能性がございますので、余裕を持ってお越しください。

会場外でご観覧の方は、
ぜひ「バーチャルスタジオ」から
ご視聴ください。

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