健康とウェルビーイング ウィーク
Society5.0実現に向けた大阪・関西万博におけるデータ利活用の取り組み
大阪・関西万博テーマ事業 いのちを響き合わせる(宮田プロデューサー)
大阪・関西万博では、Society5.0の実現を目指し、人々のプライバシーや安全に配慮するためのルールを設け、来場者の体験や会場運営を通して発生するデータの活用に取り組んでいます。公益社団法人2025年日本国際博覧会協会が推進する本取り組みにご助言を頂いた宮田プロデューサーを座長とするデータ利活用有識者会議の有識者の皆さまと共に、取り組みの内容や成果などについてパネルディスカッション形式で振り返りながら、データ利活用の運営の裏側をご紹介します。
映像記録有り
対話プログラム
- ウェルビーイング
- Society5.0
同時通訳 | 提供する |
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発信言語 | 日本語及び英語 |
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シグネチャープログラム
- 開催日時
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2025年06月27日(金)
15:00 ~ 16:30
(開場 14:30)
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- 開催場所
- テーマウィークスタジオ
プログラム内容
*字幕:YouTube動画の右下「歯車」マークの「字幕」よりお選び下さい。
(複数言語、音声が重なる際等、字幕が掲出されない場合があります)
大阪・関西万博では、「People’s Living Lab(未来社会の実験場)」のコンセプトのもと、Society5.0としてデータ駆動型社会の実現を目指しています。世界中から多くの人々が集まる万博では、来場者の体験や会場運営を通じて、予約・購買・人流・交通・エネルギー消費など多くのデータが発生します。それらのデータ活用にあたって、人々のプライバシーや安全に配慮するためのルールを設け、万博ICTインフラとして配備するデータ連携基盤を介した事業者間でのデータ連携を促進し、人間を中心としたよりよい来場者サービスや万博運営の高度化に取り組んでいます。
本プログラムでは、データ利活用に参加する事業者の拠り所となるデータ利活用の5原則「TRUST」や代表的な施策であるVPIA(Value and Privacy Assessment:サービスの価値やプライバシーへの配慮などに関するアセスメント)に加え、来場者向けのサービスや万博会場の運営に活用している事例などをご紹介します。
また、本取り組みの成果を万博のレガシーとして未来に繋ぐために、データ利活用有識者会議の有識者の皆様やデータ利活用サービスのアセスメントに協力頂いたVPIAコミュニティのメンバーの皆様によるパネルディスカッションを行います。
実施レポート
【振り返り】
[オープニング]
本プログラムの主催者である宮田裕章氏から、データ利活用が未来社会における「最大多様の最大幸福」を実現するための重要な手段であること、また、大阪・関西万博がその実験場となっていることを、Society5.0に至るまでの人類の歴史や諸外国の動向を踏まえてご説明いただきました。
[第一部]
「データ利活用で目指す社会」をテーマにパネルディスカッションを行いました。
下條真司氏からは「Sustainability, Equity, Inclusivity」の観点から、大阪のスマートシティ構想の取り組みを引き合いに、人々の幸せを中心とする持続的に成長する都市の実現においてデータが大きな役割を果たすことを論じていただきました。また、今回の万博が実験の場となっていることに触れ、データに基づく運営改善が、来場者との対話や知の創出につながることを強調し、万博で得られたデータ利活用のノウハウをレガシーとして残していくことが重要であるとのご意見をいただきました。
越塚登氏からは「Together for Co-Creation」の観点から、ここでもスマートシティ構想を引き合いに、一人一人の些細な出来事で感じる幸福レベルと頻度がwell-beingに大きく貢献するとして、都市が個人に合わせることが重要であり、そのためにはパーソナルデータの活用が必要であることを論じていただきました。また、今回の万博において来場者一人一人がそれぞれの価値観で多種多様な体験を楽しんでいることに触れ、未来社会のあるべき姿が今まさに試行されている旨のお言葉をいただきました。
高柳大輔氏からは「Resilience & Security」の観点から、昨今のサイバー攻撃の動向やセキュリティ強化の事例を踏まえ、データ利活用を促進していくためには、セキュリティ体制の整備による信頼性の確保が重要であることを論じていただきました。また、セキュリティは問題を未然に防ぐことが重要であり、万博で大きな問題が起きていないことを高く評価するとコメント頂きました。
博覧会協会の大嵩豪朗氏は、万博におけるデータ利活用の取り組みについて、データ利活用有識者会議の各委員の助言に基づき、来場者サービスの向上を目的としたデータ利活用に挑戦していることを説明しました。博覧会協会では、Society5.0の実現に向け、データ利活用のルール(データ利活用ガイドライン)と環境(データ連携基盤)を整備して運営しています。さらに、そこで得られたデータの活用事例として、ゲート混雑のオペレーション改善の取り組み事例を紹介し、来場者サービスの向上にデータの活用が不可欠であることを説明しました。
[第二部]
「信頼を構築するシステム」をテーマにパネルディスカッションを行いました。
岸本充生氏からは「Transparency & Privacy」の観点から、生成AIの時代における、要配慮個人情報以外のデータも含めたデータ出力(プロファイリング)の重要性について論じていただきました。データに関する「技術的にできること」と「社会的にやってよいこと」の線引きについて、従来は法規制や世論等を対象に実施してきたが、現在は倫理の面に対する重要性が増していることを述べた上で、多様な見解から倫理のベースを決める手段として、VPIA(※万博で独自に定義するValue and Privacy Impact Assessmentの略)の必要性についてご意見をいただきました。
山本龍彦氏からは「User Controllability & Accountability」の観点から、現在は自身の情報をコントロールし、誰と共有するかを自己決定しながらプライバシーを保護する必要があると論じていただきました。コントローラビリティの重要性について、EUのGDPRやアメリカ・カリフォルニア州のプライバシー権法に関する事例をご紹介いただき、また、三菱総合研究所の事例を元に、日本は自己情報の取り扱いの分かり易さやコントローラビリティが不足していることが、トラストの低さに繋がっている可能性があるとご指摘いただきました。これらを解消する意味でVPIAは重要な試みだったとのお言葉をいただきました。
大嵩豪朗氏からは、万博におけるデータ利活用で取り扱うシステムの内、個人に関連する情報を扱うサービスについてVPIAを実施し、サービス提供者によるバリューや、プライバシー等に関する自己評価とVPIAコミュニティメンバーによる様々な視点からの第三者評価により、サービスのリスク低減・価値向上を図っていることを紹介しました。また、第三者アセスメント結果はコミュニケーションサイトに掲載し、サービスを利用するユーザーが第三者アセスメント結果を参考にしながらデータ連携を実施するといった仕組みを作っていることを説明しました。
奥原早苗氏には、実際にVPIAの第三者アセスメントを行った際に気をつけていた評価の軸や当時の気付きを振り返っていただきました。VPIAには多様なメンバーが参加しており、若者や社会・倫理、データ連携の専門家、国際など様々な観点から各委員が評価を行いましたが、奥原氏は消費者団体での活動経験を活かし、消費者の観点から評価を行っていただきました。VPIAは企業の取り組みに信頼性を与える手段として重要であるという認識のもと、サービスの価値や情報の理解しやすさ、リスクの想定がしやすいかなど、評価者としてユーザーの皆様やサービス提供者の皆様、双方に意味のある建設的なフィードバックを行うよう配慮していたことを具体的なサービス改善事例とともにご説明いただきました。
【会期後の取り組み】
最後には、宮田裕章氏から大阪・関西万博のデータ利活用やVPIA等の取組をレガシーにするとともに、未来社会に向けたデータ利活用について、様々な場で発展させていくとのお言葉をいただきました。
出演者情報
モデレータ
櫻井 知里
株式会社comipro
アナウンサーとして金融や経済番組に出演中。
2019年より1つ目の法人を立ち上げ不動産投資家・女性起業家としても活躍している。
2021年にAI関連の法人を設立し、2023年から大阪・関西万博にて運営参加サプライヤーとして参画中。データ利活用に関するサイト構築に従事している。
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登壇者
宮田 裕章
大阪・関西万博 テーマ事業プロデューサー (大阪・関西万博 データ利活用有識者会議座長)
慶応義塾大学 医学部教授。
専門はデータサイエンス、科学方法論、Value Co-Creation
データサイエンスなどの科学を駆使して社会変革に挑戦し、現実をより良くするための貢献を軸に研究活動を行う。
宮田が共創する社会ビジョンの1つは、いのちを響き合わせて多様な社会を創り、その世界を共に体験する中で
一人ひとりが輝くという“共鳴する社会”である。
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岸本 充生
大阪大学 社会技術共創研究センター センター長・教授 (大阪・関西万博 データ利活用有識者会議委員)
京都大学大学院経済学研究科で博士(経済学)取得後、産業技術総合研究所安全科学研究部門を経て、東京大学公共政策大学院特任教授。2017年から大阪大学データビリティフロンティア機構(現在D3センター)教授、2020年から社会技術共創研究センター(ELSIセンター)長を兼務。専門は、リスク学、政策評価。
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越塚 登
東京大学大学院情報学環 教授 (大阪・関西万博 データ利活用有識者会議委員)
1994年 東大院理学系研究科博士課程修了、博士(理学)。以後、東工大助手、東大助教授・准教授を経て、2009年より東大院情報学環教授(現職)。専門は計算機科学、特に、IoTやOS、スマートシティ等の研究に取組む。現在は、データ連携基盤(DATA-EX)や都市OS,スマート農業、EdTechなどの研究・開発・社会実装に取組んでいる。
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下條 真司
青森大学 ソフトウェア情報学部 教授/大阪大学 名誉教授 (大阪・関西万博 データ利活用有識者会議委員)
黎明期のインターネットとオブジェクト指向に魅せられ、その応用としてのマルチメディア情報システムのアーキテクチャの研究に従事。研究の社会実装を通じてアーキテクチャを研究するというスタイルを取る。現在は、関西・青森との2拠点生活で異なる地域課題の解決と人材育成に取り組む。
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高柳 大輔
IPA独立行政法人情報処理推進機構 セキュリティセンター長 (大阪・関西万博 データ利活用有識者会議委員)
通商産業省(現・経済産業省)入省以降、輸出管理や二国間防衛協力(防衛省出向)などに携わり、内閣サイバーセキュリティセンターでは、サイバーセキュリティ戦略を執筆。2022年7月よりIPA参事 兼) セキュリティセンター長に就任。 博士(公共政策分析)。
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山本 龍彦
慶應義塾大学大学院法務研究科 教授 (大阪・関西万博 データ利活用有識者会議委員)
慶應義塾大学博士(法学)。慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(KGRI) 副所長。総務省「利用者情報WG」座長、デジタル庁「国際データガバナンス検討会」座長等も務める。主な著書に『おそろしいビッグデータ』(朝日新聞出版)、『AI と憲法』(日本経済新聞出版社)など。
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奥原 早苗
(公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(NACS)消費生活研究所所長(大阪・関西万博 VPIAコミュニティメンバー)
・(一財)日本情報経済社会推進協会 認定個人情報保護団体事務局長
・玉川大学工学部マネジメントサイエンス学科 非常勤講師
消費者視点で、行政・事業者・団体等の審議会や委員会等に委員として参画。幅広い業種の社外アドバイザーも務める。
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共催者名
公益社団法人2025年日本国際博覧会協会
健康とウェルビーイング ウィーク
Society5.0実現に向けた大阪・関西万博におけるデータ利活用の取り組み
大阪・関西万博では、Society5.0の実現を目指し、人々のプライバシーや安全に配慮するためのルールを設け、来場者の体験や会場運営を通して発生するデータの活用に取り組んでいます。公益社団法人2025年日本国際博覧会協会が推進する本取り組みにご助言を頂いた宮田プロデューサーを座長とするデータ利活用有識者会議の有識者の皆さまと共に、取り組みの内容や成果などについてパネルディスカッション形式で振り返りながら、データ利活用の運営の裏側をご紹介します。
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2025年06月27日(金)
15:00~16:30
(開場 14:30)
- テーマウィークスタジオ
- ※プログラム開催時間・内容は掲載時点の予定となります。変更については、当WEBサイトや入場券予約システム等で随時お知らせしてまいります。
- ※プログラムの性質上、実施主催者の都合等に因り、ご案内時刻等が変動する可能性があります。
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