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テーマウィークが描く8つの未来図 〜私たち…
2025.04.19
EXPO 2025大阪・関西万博(以下、大阪・関西万博)のメインテーマは『いのち輝く未来社会のデザイン』です。
未来という言葉を聞くとき、皆さんにはどのようなイメージが浮かびますか?
漠然としたイメージかもしれませんね。
例えば「将来にわたり、チョコレートを美味しく食べ続けるために、解決すべき地球規模の課題がある」と聞かれたら、何を思い浮かべるでしょうか。
チョコを作る上で欠かせないカカオの多くはアフリカや中南米、アジアの開発途上国で生産されおり、
そこには農園の貧困や児童労働、農園を広げることによる森林破壊等の課題があります。
テーマウィークは、こうした身近な話題をきっかけに、地球規模の課題について話し合う場でもあります。
専門家だけでなく、あなたも参加できるのが特徴です!
どこで参加できるの?
テーマウィークは大阪・関西万博会場内での参加はもちろん、オンラインにて参加(「バーチャル万博~空飛ぶ夢洲~」)することも可能です。
これにより、世界中から多様な意見が集まり、より豊かな対話が実現します。
また「テーマウィークコネクト」として会場外でもプログラムが開催されます。
8つのテーマ チョコレート、プラスチック、ゲーム、水、空気…日常がテーマ!
毎日の生活に欠かせない日用品や、生きるために必要な水や空気など、私たちが日常、当たり前のように手に入れているものの背景には、社会面・経済面・環境面等での課題があります。
テーマウィークでは、SDGsや規模の課題を網羅的に捉えた8つのテーマを一定期間ごとに設定しています。
テーマウィークでは、協会が主催するプログラム「アジェンダ2025主催プログラム」だけでなく、公式参加国、日本国政府・自治体、共創事業参加者、出展企業等会場内の万博参加者等が集い、解決策について話し合います。
「テーマウィークは万博のレガシー(遺産)」と表現する石川勝氏(大阪・関西万博会場運営プロデューサー)のように、この対話の記録は閉幕後も次の万博へとバトンがつながれていきます。
半年間にわたり、世界中から人々が集う万博の特性を最大限に活かした対話プログラム「テーマウィーク」は、年10月から開催されたドバイ万博ではじまりました。
大阪・関西万博で会場運営プロデューサーを務める石川 勝氏は「テーマウィークは紛れもなく最高のレガシー(遺産)」と表現します。大阪・関西万博においても、このドバイレガシーを継承して、さらなる発展を遂げようとしています。
普段は距離を感じる社会課題でも、対話を通じて「自分にもできることがある」という気づきが生まれるかもしれません。テーマウィークで、共に未来をデザインしてみませんか。 プログラムの詳細は公式ウェブサイトからご確認いただけます。
テーマウィークプログラムガイドブック:https://theme-weeks.expo2025.or.jp/guidebook/expo2025_ja_guidebook_0325.pdf
プログラムの一部をピックアップしてご紹介します!
開幕から5月にかけて開催される最初の2つのテーマ「未来への文化共創」と「未来のコミュニティとモビリティ」では、多彩な登壇者による対話を通じて、私たちの日常から紡ぐ地球規模の解決策を探ります。
▼アジェンダ2025主催プログラム 開催プログラム
「未来への文化共創」(4/25〜5/6)
多様な文化が共鳴し、未来への文化が共創されるために、私たちは何をすべきか?
このテーマでは、歴史文化の継承と発展、新たな文化の土壌づくり、そして多文化の共鳴について議論します。 注目のプログラム『アジェンダ2025』では、世界各国のアーティストや文化の担い手とともに対話を展開します。
【セッションの種類】
①歴史文化の継承と発展
文化の継承・発展の方法を議論。芸術・技術の内部からその価値を再定義している"新潮流"の動向を分析
ロバート・キャンベル氏(早稲田大学特命教授)をモデレーターに、文化継承の未来を考えるセッションが開催されます。
「文化資源」という言葉をご存じでしょうか?
人間の活動で生みだされた多様な文化の総体を資源と考え、より豊かで暮らしやすい社会の実現に向けて活用しようとするものです。
かつて生きた人々の営みを知り、未来へと歩むためにも共有すべき価値感や感性、逆に人類を不幸に導いてきたそれらを理解する上で大切なコンセプトだと言えます。
このセッションに登壇するのは、紛争、戦争、自然災害など社会を根柢から揺るがす場所を拠点に活動する、世界的に注目される3名のアーティストです。日本、ウクライナ、イスラエル、ガザ地区などにおける文化資源の現在地を問い、その意義について語り合い、考察していきます。
災禍によって壊れ、かけらになってしまった文化財やインフラ、言葉そのものは人間のありようを浮かび上がらせ、立ち直らせるのに有効な素材となり得るのか。
芸術や工芸などは個人と社会を結び付け、非常時の際に命を守る「シェルター」となり得るのか。
災害と戦争のさなかに生まれた表現が、その災禍を超え、起きたことの証言として後々どのように機能し得るのか。
アーカイブ化、修復、継承、揺れ動く時代を捉えなおし共有する文化資源の可能性と課題について活溌な議論を展開します。
②新たな文化の土壌づくり
「新しさ」とは何かを再考しつつ、多様な時代や地域における価値観が共存しうる新しい文化の土壌を模索
片岡真実氏(森美術館館長)をモデレーターに、「不易流行〜新しさとは何か」をテーマにした対話セッションが開催されます。
このセッションでは、時代を超えて変わらない本質(不易)と常に変化し続ける要素(流行)の関係性について探究します。
参加者は次のような問いについて考えを深めます:
・多様な文化や価値観の中で、変わり続けるものと変わらない本質をどう見極めるか?
・テクノロジーが急速に発展する一方で、伝統文化や先住民の知恵が再評価される現代において、「新しさ」とは何を意味するのか?
・異なる文化的背景を持つ人々がいかに共存できるのか?
・文化の違いから共通点を見出すべきか、それとも多様性をそのまま尊重すべきか?
・社会課題の解決に協働することで新たな文化の土壌は生まれるのか?
世界各地から集まったクリエイターが自らの経験や視点を共有し、文化的多様性と普遍性の間にある創造的な可能性を探る場となります。
③未来に向けた多文化の共鳴
多文化が共鳴し合うとともに、個々人が発信者となって文化を創造・発展させ ながら生きている社会のあり方を模索
宮田裕章氏(慶應義塾大学医学部教授)をモデレーターに、多文化共鳴の可能性について探るセッションが開催されます。
このセッションでは、藤本壮介氏(建築家/万博会場デザインプロデューサー)をはじめとする著名クリエイターが集い、文化を通じた知恵の共有と発展について議論します。
参加者は次のような問いを中心に対話を深めます:
・テクノロジーの進化とともに、どうすれば誰もが文化の受け手だけでなく創り手にもなれる世界が実現できるか?
・異なる文化や過去の叡智から学べる、持続可能性や共生に関する知見とは何か? ·
・異文化から得られる知恵を、私たちの日常生活や生き方にどのように取り入れられるか?
このセッションは、文化の多様性が個人の創造性を高め、社会全体の発展につながる可能性を探る場となります。
参加者は様々な分野の第一線で活躍するクリエイターたちとともに、文化の共鳴による新たな価値創造の道筋を考えることができるでしょう。
「未来のコミュニティとモビリティ」(5/15〜5/26)
誰もがその人らしく生きられるコミュニティとは?このテーマでは、持続可能な都市・地方と次世代のモビリティ、リアルとデジタルが融合した社会のあり方、デジタルを中心とした次世代のコミュニティについて考えます。
【セッションの種類】
①持続可能な都市・地方への転換
世界各地で進化を遂げた都市・地方の実例紹介を通じて「持続可能な都市・地方」への転換するための方法を明らかにする
アンドレス・ロドリゲス・ポセ氏(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授)が進行役となり、これからの都市づくりについて世界中の事例から学ぶセッションが開催されます。
このディスカッションでは、「30年後の未来の街はどうなるの?」という視点から、次のような疑問を考えていきます:
・持続可能な都市づくりで最も大切なことは何?
・新しい交通手段(空飛ぶ車など)が私たちの生活をどう変える?
・未来の技術は街の経済やコミュニティにどんな良い影響、悪い影響を与える?
・理想的な街づくりのために行政は何をすべき?
みんなが住みやすい未来の街を一緒に考える、国際的な意見交換の場です。
②リアルとデジタルが融合した社会のあり方
"誰もが自在に活躍できるアバター共生社会の実現性"を検討する
石黒浩氏(大阪大学教授)が「アバターと共に生きる未来社会」について基調講演を行い、その後にディスカッションが展開されます。
石黒教授はロボット工学の第一人者として、遠隔操作ロボットや人間そっくりの自律対話ロボットの研究成果を紹介します。
講演では「一人の人間が複数のアバター(分身)を操り、身体能力や知能を拡張できれば、場所や空間の制約を超えて活動範囲が大きく広がる」という未来ビジョンが語られます。会場ではアンドロイドロボットの実演も予定されています。
続くパネルディスカッションでは、こんな問いを探求します:
・人間の体の限界(労働力不足、年齢や障害による制約)をどう乗り越えられるか?
・アバター技術を社会に導入する際の課題は何か?
・人間とロボットが共存する社会で、「人間であること」の意味はどう変わるのか?
・AI時代に、より人間らしいロボット(ヒューマノイド)の役割はどうなるのか?
このセッションでは、技術の進化によって変わりゆく人間と社会の関係性について、深い洞察が得られるでしょう。
③デジタルを中心とした次世代のコミュニティ
コミュニティ領域のイノベーターが集い、次の10年で発展を実現するための「未来のための行動原則」を提言
三宅陽一郎氏(東京大学生産技術研究所特任教授)をモデレーターに、デジタル時代の新しいつながり方を考えるセッションが開催されます。
このセッションでは、まずメタバースなどのデジタル技術を活用して未来のコミュニティづくりに取り組む企業が、映像や写真を交えながら先進的な事例を紹介します。参加者はリアルタイムで絵文字などを使って反応できる双方向型の場となり、アイデアの共有と共感を促進します。
Cathy Hackl氏(「メタバースのゴッドマザー」と呼ばれる専門家)をはじめとする最先端のイノベーターたちが、次のような視点で対話を深めます:
・30~50年後、私たちが目指すべき理想的なデジタルコミュニティの姿は?
・障がいのある人や子ども、高齢者も含め、誰もが参加できるインクルーシブなデジタル社会をどう構築するか?
・こうした未来のコミュニティを実現する上での課題は何か?
実際のデジタル技術も活用しながら行われる、未来志向の対話セッションです。